第33話


ゴリアナソルジャーにトドメを刺そうと斬り掛かろうとしたら、魔力反応が何故か俺の後ろに現れた


移動した訳でも隠れていた訳でもない、この現れ方はダンジョン内で害獣がリポップする時と同じ…


でも俺はまだ倒してない!!なんでだっ!!

クッソ!!それよりも今はどうするかだろ

こいつを倒してから皆の方へ?

いや!それじゃ間に合わない…

ならこいつを無視してすぐに皆の方へいけば…

駄目だ!こいつも付いてくるっ!!


あぁー!!クッソ!どうして俺はこう、詰めが…


「和泉くん!!大丈夫だから!!」


初島の叫びに背中を押される

そうだ、こんな時の為に皆にはわざわざ連携の確認までさせたんだろ!!

なら1秒でも早くっ!!


俺は全力でゴリアナソルジャーを切り捨てる


同じタイミングでもう一体現れたゴリアナソルジャーが剛達へと襲いかかる


3人は慌てず練習した連携通りに動く


「我が魔力よ、魔弾となり、敵を撃ち倒せ…」

「火よ、我が魔力を以て、燃え上がれ…」


「キャノン!!&ファイア!!」


初島と祐二の同時詠唱による魔法攻撃

一直線に向かってきていたゴリアナソルジャーにモロに直撃する


だがその程度の攻撃ではゴリアナソルジャーは止まらない


だが充分、目的はダメージを与えることではない


「我が魔力よ、盾となり、我が身を守りたまえ、シールド」


さっきの攻撃は、剛がシールドを発動させる為の時間稼ぎ


ゴリアナソルジャーの目の前に巨大な透明な壁が現れる


ゴリアナソルジャーは壁に気付かず思いっきりぶつかる

シールドは簡単に破壊されるがゴリアナソルジャーは一瞬怯んだだけ


あまり知られてはいないが魔法には再使用時間(通称リキャスト時間)が設定されている

だが何故知られていないのかというと、多く使用されている魔法のリキャスト時間はかなり短く設定されている

例えば裕二がよく使うファイアのリキャスト時間はわずか2秒

中級魔法にしても5秒程度、上級魔法になってようやく10秒となる

仮に連続使用したとしても、その程度の秒数であれば詠唱中にリキャスト時間が終わってしまう

だから普通の者は気付かない

気付いたとすればその者は詠唱短縮をしているか、無詠唱をしていることになる


少し話は逸れたが何故こんな話をするかというと、シールドのリキャスト時間は30秒なのだ

リキャスト時間は誰が決め、誰が設定したのかは分からないがその基準となるのはその魔法の特異性と効果の強さ

シールドの効果について思い出してほしい

「どんな攻撃も一度だけ防ぐことが出来るシールドを発生させる」

これがどれだけの特異性を秘めているかわかるだろうか?

その攻撃がちょっと触れるだけのものだろうと、即死級のものだろうと一度だけ防ぐことが出来る

これの対処法を挙げればいくらか思いつくが、それはあくまでシールドのリキャスト時間が長い場合の話である

仮にリキャスト時間がファイアの魔法と同じように2秒だとしたら、それは初級魔法の域を超えてしまっている

仮に無尽蔵に完全防御の魔法を発動し続けられるとしたらそれはただの人間要塞なのだ

そう考えるとリキャスト時間の設定は上手くされてると言えるかも知れない


度々話が逸れてしまったが、今の現状を思い出してほしい

剛がシールドを発動し、ゴリアナソルジャーの動きを止めた

だが実際は少し怯んだだけでまたすぐに攻撃をしようとしている


シールドのリキャスト時間は30秒…次のゴリアナソルジャーの攻撃には間に合わない


取り敢えずこっちのゴリアナソルジャーは倒した…けど、あっちのゴリアナソルジャーには間に合わない!!このままだと皆がっ!!

どうする!?どうしたら…

クソっ!!こうなったら剣を投げるか?

投擲スキルは取ってたか?

いや、そんな事言ってる場合じゃ…


クッソ!!どうしてこんな…

俺が上級に来るなんて言い出したから…

やっぱり考えが甘かったんだ


またか、また俺は目の前で仲間を…

そう思った瞬間、あの時の映像がフラッシュバックする

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