第29話

正直断られても仕方ない

リセットボタンなんて誰が信じるんだ

仮に信じたとしても死に物狂いで強くなって、それでも勝てるか分からない相手と戦おうって言ってる

そんな話に乗る奴なんて…


「いいわよ」


まさかの人物が即答した


「あの時の事、きっとさっきの話が関係してるんだよね?なら手伝わない理由ないわよ」


なんだこいつ…こんなに強い奴だったか?

いや、俺が知らなかっただけで

知ろうとしなかっただけで

最初からこいつは強い奴だったのかもしれない


「オホン」


祐二がわざとらしく咳払いをした


「2人の世界に入ってるとこ悪いんだけどさ」

「ちょっ!!もうっ!!支くん!!やめてよー!!」


やだやだーなんて言いながら祐二の背中をバシバシ叩く初島

普通に痛そうだ


張り手の嵐が終わってから祐二が言い直す


「勿論、俺も戦う」


「傑には聞いたのか?」


こういう時、剛ならすぐに答えそうなのにそんな質問をしてきた


「うん。答えも聞いてる」


「そっか…やるよ、俺も」


だよな

お前はそういう奴だ


「聞くまでもないけど傑は?」


「勿論…」


言うまでもないだろ?


良かった、本当に良かった

誰か1人でも欠けていたら俺はここで折れてたかもしれない

でもお前らが全員力を貸してくれるなら…



そしたら本題、これからの方針だ

傑を待つかどうかを3人に問いかけた

これについても傑には事前に聞いてある


「私は和泉くんに合わせるわ」


ここでもまた即決

なんなんだこいつは…というか俺に委ねるなよ


「俺は…」「待ってくれ!」


祐二が答えようとするのを剛が止めた


「和泉、お前はどうなんだ?」


このタイミングで聞いてくるって事は剛は俺の答えは分かっていて、尚且つ自分の答えと違うのも分かっているって事だ

地球にいた頃から俺たちの意見が食い違う事はよくあった


「聞かなくても分かってんだろ?」


俺の顔を見た剛はフッと笑った


「…そうだな、俺は傑を待つ」


「もういいか?俺は待たない」


祐二の答えは少し意外だった


「なんだ和泉、俺の答えが意外か?」


おっと、顔に出てたか?


「まぁ、そうだな…少し意外だ」


「簡単だよ、傑ならどう言うか?って考えただけさ」


祐二の読み通り傑は待って欲しくないと言っていた、流石は祐二だ


こうして当面の方針が決まった

この1ヶ月俺たちは傑を待たずにガンガンレベルをあげて討伐者カードを手に入れる


確定ではないから皆には黙っていたが、傑の討伐者カードについては考えがある

上手くいけば傑も退院と同時にカードが貰えるはずだ


どれだけレベルを上げないと行けないのか考える為、皆の今のレベルを聞いた


俺は勿論1で初島が2

祐二は俺と話した時に皆を説得してくれてそれ以来レベルをあげていないらしい

なので祐二が10で剛が8


嬉しい誤算とはまさにこの事なのだが、レベル20って事を考えるともうちょっと上がっててくれても良かったなんて考えるのは贅沢だろう


俺がパワーアップバングルの事を説明すると、皆レベルを上げなかった事に納得してくれた

初級鑑定魔法についても説明したが、こっちはあまり反応が良くなかった


それもそのはず初級鑑定魔法を全員取るようにした、本当の理由は別の理由だったから

そっちは1周目では検証出来ずぶつけ本番となってしまった

でも勝算は7割くらいある

全ては明日わかる事だ…


取り敢えず明日からダンジョン攻略を始めることにした

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