第27話


「でも…」


3人揃って親指を突き立てる


傑は重症で矢島は行方不明

結果だけ見ると勝利と呼んでいいのかは分からないが、あれだけのレベル差を覆しての戦い

これを勝利と呼ばずなんと呼ぶ


傑は力強く拳を握り締めた


「いててて!!!!」


嬉しさで足の事を忘れていたのか?足の激痛でのたうち回っていた


とはいえその代償はかなりデカかった傑は色んな所が肉離れと複雑骨折しており全治10ヶ月と診断された

あれだけの戦いで全治10ヶ月なら良かった方かもしれないが正直かなり痛い…


幸い瞑想してれば初級鑑定の取得は進められるが、それだけしか出来ないのだ

だが傑が死ぬより何倍もマシだ


「あの〜」


咲宮が申し訳なさそうに声を出す


「何?」


「ヒッ!!」


何?と聞いただけでこの反応

ムカつくな…


「どうしたの?」


すかさずイケメン剛がフォローする


「結局私はどうすれば…」


そう言えばそんな話してたっけ


「だってさ、傑」


皆に注目されると傑は再びさっきのように顎に手を当て考え始める


「んー」


その様子を不思議そうに見つめる咲宮


「なぁ?」


「へあっ!?」


へあってなんだよウルト○マンかよ


「俺の事殺したかったの?」


咲宮の体がビクッとなる

無理もない傑のあの眼、声のトーンからは考えられないくらい冷たい

まるで真剣でも突きつけられているような眼


「ちがっ!ちがうの!私はっ!!」


「じゃあいいかな」


すぐにいつもの傑に戻る


「え…でも、私は片山くんを…」


あまりにあっさり許されてしまって拍子抜けだったのか、咲宮は許してもらったのに言い訳をする


「だからいいって、悪いのは矢島だろ?それに今、俺は生きてるんだ!な?」


「傑がいいならどうでもいい」

「そうそう!終わりよければ全て良しってな」


傑に問われると2人とも清々しく許したと伝える

まぁ、俺は許さねぇけどな…

とは言えそれは俺の問題で皆には関係ない


「他2人と同意」


「ヒイィィ!!」


さっきから何なの君?マジでボコボコにしてやろうか??


「大丈夫だよ、ああ見えて和泉も優しいから」


剛っ!!俺は一生お前の友達だぞっ!!

剛のフォローで俺の方をチラリと見てくる


「片山くん…それに大倉くん、支くん達も…」


達………ですよね、俺の名前知らなかったし


「こんな私を許してくれてありがとう…ございます。それに片山くん!ごめんなさい!!」


「大丈夫。俺は女の子の味方だから」


全身包帯グルグル巻で両足吊られながら言ってもカッコつかんだろうに


それでも咲宮の傑を見つめる目は恋する乙女そのものだった


この騒動で傑に恋をした女の子が2人居たのだがやはり和泉は気付かない

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