第25話
「なんでぇー!!!なんで俺が負けるぅぅぅー!!!お前みたいな奴にぃぃぃぃ!!!!」
ひどいイラつきようだ
「丁度2分…お前の底は見えた」
傑はようやく桜を口に含み噛み砕く
一瞬苦そうな顔をした
むしろそれだけで済んでるのがすごい
冗談抜きであれはマズイ
例えるなら…ゴーヤの苦さを10倍にしてパクチーの風味(クサさ)を5倍にしたような
俺が初めて食べた時はしばらく吐き気との戦いだったのに…
この調子なら大丈夫か、と思ったが矢島がある1点を見た時正気を取り戻す
「シャハ!ついイラついちまったぜ」
視線の先には…咲宮?なんであんなとこに?
矢島はいつの間にか拾っていた石を投げる
勿論そんなのが当たるはずもなく傑は難なく避ける
「チッ!」
だが本命はこっち、矢島は傑が避けた先に砂を投げていた
避けるのが間に合わず目を閉じるしかない
その一瞬を矢島が見逃すわけもなく、パンチの連打を浴びる
なんとか顔面は守っているが、腹にはモロに入ってる
これじゃあ桜で身体能力を上げた意味が無ぇ!
どうする、傑?
ようやく目を開けられたが身体中ボロボロ
「ペッ…クソが思い切り殴りやがって」
口からを血塊を吐く
どっか内蔵やられたか?
時間もないし本気でヤバいぞ…
「どうやったか知らんがレベル差にしてはお前は強かったよ。ただ残念…俺の方がもっと強かったようだがな!シャハハハ!!」
傑は再び剣道の構えをとる
「無駄なんだよ!!」
矢島はまたもや石を投げる
傑は砂を警戒し最低限の動作で避ける
また砂か?芸がないやつだな
…ッ!!
気配察知スキルに魔力が高まる反応を感じた
丁度さっき咲宮がいた辺り…
そういう事かよ!!クソッタレ共!!
「祐二!!水の魔法!!なるべく強いやつ!!早くっ!!」
「分かった!どこにだ?」
流石親友、対応早くて助かる
「そこ」
傑の前あたりを指差す
「今だ!やれ」
「ファイアアロー!!」
「水よ、我が魔力を以て、水の渦となれ、ウォーターブラスト!!」
祐二に指示を出した辺りに炎の矢みたいなやつが飛んで来る
それは一直線に傑目掛けて飛んでいく
バゴーン!!
ふぅ…間一髪…
2つの魔法はぶつかり水蒸気爆発を起こした
2発目は…ない!
でも許されねぇぞ
どさくさに紛れ逃げ走る女が1人
俺は先回りし足を引っ掛け転けさせる
女は受け身も取れず顔面から突っ込むように転けた
予想以上に激しく転けたので少し罪悪感が芽生える
「いったぁ…」
「おい」
起き上がろうとした咲宮の顔を覗く
「なんなのよ…私いそぃ……!!」
俺の顔を見た女、咲宮は驚く
「あんた…誰よ?」
「…」
え…ちょ、え????
マジ?
え????そんな事ある??
は??
俺の事知らんのかーい!!
内心めちゃくちゃ取り乱したがなんとか言葉を返す
「和泉だ、一応同じクラスだったんだけど」
「和泉ぃ?知らないわよあんたなんて。私急いでるから!」
グサッ
またもや言葉のナイフを突き刺してくる
咲宮、こいつは俺の天敵かもしれない…
「下手したら死んでたぞ」
「っ!!なっ、なんの事」
「とぼけんなよ!お前が打った魔法で傑が死んでたかもしれないって言ってんだよ」
「そんなっ、そんな事言ったって!私には矢島しかいないの!!彼についていくしか!これを成功させたらチームに戻してくれるって!」
こう、なんだろう…ヒステリックな女を見ていると殴りたくなるのってなんなんだろう
「それなら人を殺してもいいのか?仕方ないのか?」
「知らない!知らない!あんたに関係ないでしょ!!」
「じゃあ死ねよ。俺の親友を殺そうとしたんだ、死ぬ覚悟はあるよな?」
ナイフを取り出し首筋に当てる
勿論本気で殺すつもりはな……
「あれ?」
咲宮は失禁しながら気絶してしまった
え…うそ、うわぁ…
汚いので取り敢えず紐で縛って放置した
それより傑はどうなった!?
急に目の前で水蒸気爆発が起こった
祐二の方を見るとピースしていたので相手からの攻撃を祐二が防いでくれたのだろう
だが、矢島は魔法を使えなかったはず
「チッ、やっぱクソビッチは使えねぇ」
て事は今のは咲宮の魔法か、こいつはどこまで…
剣道であいつを追い詰めて改心させればいいと思っていたけど、そんな次元じゃねぇ
最悪殺してでも倒す
絶対に許せねぇ!!
水蒸気爆発による砂煙が収まり矢島の姿が見える
「シャハ!作戦は失敗したがお前はボロボロだ。そろそろ終わりにしようか!!」
試合では使わない技
なぜなら剣道に相応しくないから
なぜなら余りにも暴力的だから
木刀を右手だけで持つ
持つ向きを逆にする
死に晒せ、矢島
一歩踏み込んだ瞬間
フッと力が抜けた
「やべ、時間か…」
集中と怒りで時間を忘れてしまったみたいだ
あれだけ和泉に忠告されてたのに
矢島の拳が向かってくる
やけにゆっくり感じる
顔面コース、やべぇモロだ
避けようとするも体に力が入らない
それどころか倒れながら拳を迎えに行っているような状態
少しでも…逸らせ
ダメージが少ない方に…
まだ、俺がやんなきゃいけねぇんだ!
こいつは…
ゴン!!
低く…鈍い、まるで骨でも折れたかのような音が響いた
傑はそのまま倒れていく
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