第21話

は?スグとは言ってたけどマジでスグじゃねーか

裏ギルドだけはまじで敵に回したくねぇな…


吐けるだけ吐ききったので酔いはマシになってきたけど、今度は頭まで痛くなってきた

ねぇだれかロキ○ニンくれない?


今すぐ寝転がってしまいたい

ゆっくり寝たい


だが俺の体調なんて大した問題じゃない

何故なら頼られてしまったから

「力を貸してくれ」と

俺の凄い仲間達が俺の力を借りないといけないくらい追い詰められてるってことだ

なら俺は地べたを這ってでもあいつらの所に行かないといけない


文字通り地べたを這いずって…ではなくフラフラとよろけながら歩く事、数十分…


やっとの思いで祐二の部屋に着いた

リバースしまくったせいで服はドロドロ、臭いもヤバい周りの人からは文字通り汚物を見る目で見られた


体調の方はだいぶマシにはなってきたけど、取り敢えず風呂入りたい…


コンコン


祐二の部屋のドアをノックする

返事がない

…別のとこか?


コンコン


もう一度ノックする

やはり返事がない


剛の部屋にでもいるのかと俺は振り向いた


だが振り向いたのと同時にドアが勢いよく開いた

振り向いている俺は気付かない

つまり今、俺の後頭部目掛けて超高速で木の板が飛んできているという状況だ


体調が万全ならなんともなかっただろう

だが今の俺は満身創痍、そんな状況で後頭部に攻撃されれば…


バタン!!


見事に顔面から倒れた

まるで漫画のように…


ステータスは上がっていても痛いものは痛い


「誰だ?って和泉?」


ドアをぶつけた事に気付いた祐二が俺の元に駆け寄ってくる

せっかく体調が良くなりかけてたのにあんなの食らったら…


「祐二…すまん…」


「和泉っ!どうした!和泉っ!?」


心配した祐二が俺の体を揺さぶる

あぁ…やめてくれ、必死に抑えていた俺の…俺の…


祐二に向けて盛大にリバースした


「いや、だから悪かったって」


「もういいって」


「顔が笑ってねぇんだよ」


「許してやれよ、和泉も急いで来てくれたんだ」


完全に不貞腐れている祐二を俺と剛、どうやら丁度着ていた服がお気に入りだったようだ

マジですまん、だが祐二も悪いだろさっきのは


「それよりアレどうした」


普段ならすぐにでも混ざってくる傑が混ざるどころか殺気を振りまきながらじっと座っている


剛や祐二と違いその姿を初めて見た俺にとって傑がキレるなんて事は夏に雪が降るくらい珍しいものだった


「説明すると長くなるから簡単にいくぞ」


矢島とかいう奴がチームの仲間に手を出しまくっていたらしい

それだけじゃ飽き足らず無理矢理山本をチームに入れようとしたが、早瀬が身代わりになったと

早瀬は今夜、矢島の部屋に呼ばれているから無理矢理犯されるだろうと…

止めようにも矢島のレベルが高いから無理


まず矢島って誰だ?

男に興味ないから分からん

んで早瀬が無理矢理犯されると

早瀬は確かになかなか美人だったもんな

でも…


「なんでそれで傑がここまでキレるんだ?傑って早瀬が好きなの?」


「いや、なんでそーなんだよ」


「和泉ってこういう奴だったわ…」


何故か呆れられている

いや、本当に分かんないんだけど??


俺により作られた和やかなムードを傑がぶち壊す


「理由なんてなんでもいい。俺は矢島が許せねぇんだ、正直殺したい」


傑の目に宿る殺意と決意の炎

こんな傑は見たことない…


「レベル差は?」


「俺はレベル8、矢島は正確には分かんねぇけど40近いはずだ」


レベル40か…確かに無茶なレベル上げをしてるみたいだな、そりゃあ現時点では誰も抵抗出来ないだろ

すぐに殴りかからず俺を頼ってくれるあたりこいつらは凄いと思う


「頼むっ!!なんでもするっ!!だからっ!」


傑が土下座する

何がここまで傑を突き動かすのか興味はあるけど、今聞くのは無粋だろう


「負けたら殺されるかもよ?」


冗談ではない、この世界で「死」は軽いのだ


「死んでも殺す」


全く引く気はないようだ、分かってはいたけど


「ならいい。でも俺は親友を無駄死にさせる気はないからな」


レベル差は30以上

少なく見積もっても1つあたり3倍程度のステ差があるはず

偏りが激しい場合はもっと…


「これやるよ」


「巻物?」


傑に渡したのは初級身体強化魔法のスクロール

本当は自分で使ってから習得条件とか調べるつもりだったけど、仕方ない


「それ開いて」


傑は言われた通りスクロールを開く

するとスクロールは激しく光り傑を包み込む

光がおさまった時にはスクロールは消えてなくなっていた


「なん…これは…」


傑は驚いた顔をして俺を見る

それはそうだろう

スクロールを開くとその魔法の使い方と効果が手に取るように分かる

説明しづらい感覚だが、まるで昔から使っていたかのように感じる


「和泉、ありがとう。これなら…」


今にも泣きそうな、戦いにいきそうな傑の表情

そりゃ、そうか

身体強化魔法は初級でもそれだけの代物だ


…でも


「んー無理。それだけじゃ勝てんよ」


レベルの差、舐め過ぎじゃない?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る