第39話 クラウスが明かした総統ユリウスと女王ヘレナの意外な過去
「わかった。総統ユリウスは嫌いだが、味方になろう」
と、クラウスは協力することを承諾した。そして、
「総統ユリウスは嫌いだが、もっと妹アメリアと女王ヘレナは嫌いだ。
あのふたりの色恋に対する態度は、狂っているとしか言いようがない」
と、ため息をつきながら言った。
初めオスカーはクラウスがもたらす情報など、ほとんど期待はしていなかった。
しかしクラウスはオスカーの知らなかったある驚くべき事実を知っていて、それをオスカーに伝えた。それは総統ユリウスと女王ヘレナの意外な過去だった。
かつて、総統ユリウスと女王ヘレナには、結婚話が持ち上がった時期があったと言うのだ。
「明けの明星と人々から呼ばれていたころの総統ユリウスは、誰からも愛されるような好青年で美青年だったらしい。信じられないことだがな」
とクラウスは驚くオスカーに言った。
「若き日ころの女王ヘレナも、総統ユリウスを、心秘かに愛していたらしいのだ。
しかしユリウスには親が決めた許嫁がいて、ユリウスはその許嫁を愛していた。
その許嫁はヘレナとは比べものにならないほどの美女だったらしい」
そしてクラウスは、なおもことばを続けた。
「普通はそこであきらめるものだが、しかし女王ヘレナはあきらめなかったらしい。あの手この手を使って、ユリウスに愛の告白をし、迫ったらしいのだ。しかし王になることになど興味が無かったユリウスは、あっさりと、王になるなら自分の力で王になる、とヘレナの求愛を断ったらしい。
しかしそれでもヘレナはあきらめなかったと云うのだ。最後は総統の妹までも巻き込んで、結婚を迫ったらしい」
と、クラウスはクスクス笑いながら言った。
「王家はユリウスの親族に、ユリウスと王女ヘレナの結婚か、さもなくば妻を亡くしたばかりの王とユリウスの妹アンジェリーナとの結婚を迫ったらしい」
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