第37話 想い遙かに~ハンネス救出作戦 ①

 総統ユリウスは甥を救出するために、自ら王宮に攻め入ろうとしたのだが、情報省長官オスカー・フォン・ブラウンは、それを止めた。

 

「ユリウス総統、なたはハンネスの顔も良く知りません。王宮を攻めても、ハンネスを救えるとはとても思えません。アメリアとて、馬鹿ではありません。ハンネスへの異常な執着を考えると、他のものにはわからない場所へハンネスを移し、幽閉しているはずです」

 そしてオスカーは言った。

「ずっと探していた甥をついに見つけたのですから、はやる気持ちはわかりますが、どうかご自制ください。私が策を考えます」


 それからオスカーはすぐに動き始めた。情報を集めなければならない。

 王宮は残念ながら、一つの国のようになっていて、王族以外は立ち入れない場所でもあった。総統ユリウスには、王族の血も入っていたが、現在、王宮を支配している女王は、前王の長女で独身のまま王座についたヘレナだった。そしてアメリアの母は、現女王の妹だったことから、女王はアメリアを自分の子どものようにかわいがっていた。




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