第12話 騎士と永遠のレディー ⑤
「お前はこの名門フォン・ブラウン家の跡取り息子だ。
もうそろそろ軍隊での修業を終え、元老院議員となり、次期首相候補としての名乗りを上げねばならぬ。ライバルのクラウス・フォン・マイヤーや他の名門貴族の息子たちは、すでに元老院議員となり、着々と足場を固めつつある。
お前は大衆に人気があるようだが、政治家はそれだけでは駄目なのだ。
クラウスの妹は、美しくはないが、王家の血を引く名門の娘だ。お前が政界へデビューするとき、あの娘の持つバックボーンは必ず、役にたつ。お前の助けとなる。
クラウスの妹と結婚するのだ。良いな、オスカー」
無言の息子に、父はあえて尋ねた。
「お前はまさか、あのルカというものを愛しているのか?」
しばらくオスカーは黙っていたが、ついに意を決して、父グスタフに宣言した。
「はい、父上。だからクラウスの妹とは結婚しないし、ルカを誰にもわたしません」
と言った。
「それは駄目だ、オスカー。お前の気持ちは分かったが、どちらの申し出も断る、と云ういう選択肢は、ないのだ」
と、父は息子に言った。
「お前がどうしてもあのルカというものと別れられないというのならば、それも良かろう。しかしその場合は、クラウスの妹と結婚するのだ。
さすれば、あのものをお前の愛人にすることは許そう」
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