第27話:見つからない解決法 ⑤
そして、現在日本で働いている海外出身の人にとってもこのような状況が実際に起こることで悪い印象を持たれかねない状況に発展する可能性もあり、いかに日本社会が個人の経済的な部分に対して適正に所得を得られる環境を作り、その環境をいかに維持させるかという他国でも問題視されている課題や海外でも潜在的に発生はしているが、このような理由で一方的に不当解雇等が行われたときに個人生活の崩壊や企業及び社会に対する信用の低下、本人および家族の社会的孤立など精神的にも心理的にも深刻なダメージを負う可能性があるのだ。
もしもこのような問題が広範囲で実際に発生した場合、仮にこのような状態の人が特定地域等で増加した際に自治体や支援団体がサポートできるかというと私はかなり難しいと思っている。
その理由として、現在の都市部と地方部では財政状況の格差が著しく、全ての自治体がこのような人に対して適正な支援をすることは困難であり、都市部のように居住人口が多い地域では税収の割合が高いため、ある程度の“予備費”や“緊急支援準備費”などという名目で予算を計上しておき、そのような状況になったときに議会承認を経て支給できるが、地方部の場合は財政的に困窮もしくはこれらを実施する事で赤字財政に発展してしまう可能性のある地域も多いため、仮にこのような人が増えてしまうと自治体としても支援やサポートが十分に出来ず、家や資産を差し押さえることは出来ても生活を維持させるという事は困難になってしまう可能性も十分に想定できる。
そして、都市部は若い世代の居住率が高いことから若い世代向けの政策や支援策などが充実している部分もあり、幅広い世代に対して支援出来る体制や財政分配が可能になっていることも多く、若い世代が生活しやすい社会が出来上がっているという事もある。
そのため、出産・育児等で万が一孤立しそうになったとしても自治体の支援員さんや同年代のママ友等を頼る事が出来るため、深刻な孤立につながる可能性が格段と低くなる。
これは地方でも体制構築は可能なのだが、地方の場合は支援を行うために必要な予算確保が困難になっているケースや予算を確保しても申請数が伸び悩み、計上した予算を下回る歳出になることで次年度以降の予算編成に大きく影響が出るのだ。
そして、都市部と地方部では個々の価値観が異なっているため、都市部であっても、地方部であっても本人が支援を求めようとすることで周囲の目が気になることやその情報が周囲に対して拡散されることで本人に不利益が被る、家族に不利益が被るという状況が出来てしまう可能性があり、価値観が異なっている状況では十分な効果を期待できない可能性もある。
そのうえ、これらの状況に陥ったとしても多くの場合は“家庭責任”や“個人責任”など個人の責任を問う場合も多く、家庭や個人において深刻な状況であったとしても支援を求められない、声を上げられないという状態になる事で自治体などが気付くのが遅れてしまい、短期間で虐待やDVなどが発生し、子どもたちが傷つく、母親が傷付くといった社会的に起きてはいけない、好ましくない状況につながる可能性があり、この事が発生する事で1つの問題に対して複数の業務担当者が関与する、介入する、仲介するといったそれぞれの役割を求められる可能性もあるのだ。
現在は公的情報としては報告件数および認知件数で数十万件程度となっているが、この数字以外に本当は相談が必要な状態であっても相談出来ない、相談する事によって不利益を被る可能性などを理由に潜在的にこれらの状況が発生している可能性があり、潜在数をどのように関係省庁や自治体が把握し、そこから抜本的な支援に繋げていくかを検討しなくてはいけないのだが、この時代特有の問題が発生することや以前からの体質が改善されていないという状況がこのような人たちを黙認せざるを得ない状況になる要因を作ってしまっているのだろう。
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