第24話:見つからない解決法 ②

 そして、昨年以降は“アカデミックブランディング”といった採用条件の厳格化と限定化が進んでおり、就職活動においても学歴や能力・相手に対するインパクトなどが求められるようになっていることも以前とは大きく変わってきた部分だろう。


 そのうえ、地方企業であっても、中規模異常の事業を展開しているレベルの企業では“セパレート・リクルーティング”(=分離型採用)の導入を検討している企業も少しずつ出てきたのだ。


 これは“地元採用”・“地域定着”を目指す企業が所在地のある都道府県の大学などと所在地外のその他の都道府県の大学などで採用比率を新卒就職希望者の割合から算出し、採用計画を立てるというものなのだが、実際には採用割合をどのように設定することが求められるか、求める人材のレベルに対してどの程度地域に優秀な人材がいるかの把握が困難になるだけでなく、学生の都市部への流出が止まらないため、都市部にある企業にはメリットになるのだが、地方にある企業にとってはデメリットになりかねない部分も多い。


 そのうえ、この方法を導入するにはその都道府県における企業競争力が高まらないと一定の効果を得ることは難しく、採用数が減っているもしくは少ない企業が多い場合には採用強化を進めるために何らかの対策を打たなくてはいけないと思うのだ。


これまでも学生の地方から都市部への流出が止まらないことで地方企業の採用実績が上がらず、企業存続の危機に陥っている企業も多くあり、これらの企業の魅力をどのように向上させていくかも1つの課題だろう。


 そして、若い世代の価値観を尊重できる環境整備や若い世代が住みやすい人間関係やコミュニケーション方法など相互関係性の構築を行う際に若い世代が強いストレスを感じない、近所の人に頼りやすい環境を整備することも若い世代が傷つかないために必要な事だろう。


 これまでも地方から都市部への若手の流出や日本から海外への人材の流出などは起きているが、これらの大きな要因として“価値観の相違”や“年功序列への違和感”・“人間関係”・“虚偽掲載による企業信用の欠落”など個人対企業もしくは個人対個人が多く、これらの要因がここ数年はかなり肥大化しており、若い世代における就労環境の多様化もこれらの要因を引き起こしやすくなっているのだ。


 日本社会はどちらかというと年長者が年少者をコントロールするもしくは上役が社員をコントロールするという社会的パワーバランスが安定していない国の1つだと思うし、そこから見えてくるトラブルの多くが決定権を持っている上司などの立場が上の人が適正にコントロールできていない状況が長期化したことや年功序列の考え方が根強く残っている事で若手社員が育っていかないという現状もこの先解決しなくてはいけない課題だと思うのだ。


 前記した“虚偽掲載”や“人間関係”というのは以前から私が問題視している課題及び改善における重点項目であり、これらの項目をきちんと改善する、課題として向き合うという事が出来ないと若い世代が企業などに定着するというのは難しいだろうと思う。


 特に“虚偽掲載”は企業の信用を失墜させるだけでなく、就労に対する個人の就労意欲や労働意識を変えてしまう可能性があり、企業に対して“きちんと求人内容を虚偽なく記載させる”・“求人記載情報や応募職種以外の職種および業務に就く可能性がある場合はきちんと応募者から事前に同意を得てから手続きすること”など基本的な事ではあるが、ミスマッチを防ぐことや企業主導の“ジョブハラスメント”の発生といった企業側の雇用意識や人材に対する圧力が過剰にならないように指導していくことも必要だろう。

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