第21話:人を傷つけることの共通点 ⑫

なぜなら、現在は有名難関大学ほど国内企業への就職から起業・個人活動や海外企業への就職、海外移住など組織に囚われない、国内・海外両方の選択肢を持った人生設計を立てている学生が多く、これらのプランを基にした進路選択や企業選択を進めるため、仮に企業への就職を目指している学生であっても将来的なキャリアを中心に考えた時に社会的イメージが良い企業を選択するという学生が増えており、学歴を絞るという事に対して抵抗を感じる学生やチャレンジしたいと思っても起業や独立をする際に“○○さんは学歴差別の企業で勤めていたから信用できない”・“○○さんも差別するのかな”など日本における“個人イメージ”と“学歴・経歴イメージ”が同時に相手に対して伝わるため、場合によっては実際とは異なるイメージが社会でひとり歩きしてしまうという可能性もあるのだ。


そして、人によっては学生の頃から自分が成長できる環境であると認識することで選択肢が広がる学生も増えており、大学を卒業すると同時に海外に移住するという人もいるという事から企業等が出す条件に対してネガティブな印象を受けることも十分に考えられるのだ。


 特に日本というのは“自己利益型”という個人もしくは組織の利益が優先事項として捉えられることが多く、これらの利益を生み出せる人しか採用したくないという指向的価値観が以前から企業間に発生している傾向が見られることから、今後の社会おいてもこの価値観がさらに顕著な形で就職活動や転職活動に対して働く可能性やこれらの価値観が社会一般としてすでに浸透していることもあり、個人にとっても企業にとってもWin-Winの関係性を構築するという事は難しいと思うのだ。


そのうえ、日本の課題として“少子化問題”や“海外への人材流出問題”などが発生している事からこれからの時代において学歴を重視する企業が増えた場合に“人材確保”の問題や“採用可能人数の減少”など企業の存続に関わる重大事項が企業の課題として起きてしまうのではないかと思うのだ。


しかし、現在は求人サイトなどを見ていると、これらの価値観を継承する形で企業などの採用情報を見ても企業が求める人物では“○○大学卒業以上”といった出身校指定条件型求人や“業務経験○年以上”という業務経験年数指定条件型求人などが以前よりも増加しており、企業にとっても優秀な人材のみを採用することで企業の成長を促進することや同業他社とさまざまな競争になった場合にも優秀な人材が育っていることで多角的な分析が早急に出来るため、対策や対応がしやすい。


そのうえ、優秀な人材をあらかじめ採用しておくことで企業の事業拡大や新プロジェクトの立ち上げなどの際に社内選考がスムーズに行くため、スタート時期を定めやすいというメリットがあり、人材を増やさなくてはいけないタイミングで将来的な採用計画などを立てやすいというメリットもある。


ただ、このような条件を付けることで応募する人が減少する可能性や採用活動の長期化による必要経費の膨張といった企業側の負担増が懸念されるため、個人にとっても企業にとっても企業イメージが変わってしまうという可能性もある。

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