第13話:人を傷つけることの共通点 ③-1

これらの発生にはある共通点がある。


それは“家庭における発育環境”と“子どもと親の関係性”など本人が生まれてから今までの家庭内における人間関係の構築プロセスと親や家族の交友関係における価値観の習得と体験・経験による問題行為の適用基準がそれぞれに異なっており、これらの行為を行うプロセスはかなり似ている部分が多い。


 そのため、これらの行為に対する個別認識が異なっている事や“これくらいなら問題ない”・“これくらいならバレない”のような親を含めた大人の言動を模倣すること、夫婦喧嘩やDVなど相手もしくはお互いに暴力等でお互いを傷つけ合うという現場を見てしまったときに“自分もこういうことをしてもいい”という誤った見解を持ってしまうことでそのイメージがそのまま同級生などに重なってしまうという事もあるのだ。


一方で特別な生徒指導の場合は通常の生徒指導と類似する、共通する部分はあるが、通常の生徒指導と異なるのは関係者の範囲がかなり広がるため、本人が問題を抱えていた場合にカウンセリングを含めた医療ケアを受けられる点や相談したくてもこれまで相談出来なかったとしてもこれからは定期的に相談出来るようになるなど子供たちのストレスが過剰になる事を防ぎ、問題行動を軽減させるための指導といえるだろう。


 なぜなら、特別な生徒指導を必要とする児童・生徒の場合は問題認識が不十分になっている可能性や家庭環境における心理的な問題が発生している可能性があるなど本人の精神状態を改善させるためにカウンセリングや医療的観点からの指導が必要と判断される場合にはカウンセラーや臨床心理士などの専門家が本人との面談や認知療法を含めた治療法を定期的に実施し、本人の心理状況の変化や価値観などの自己判断に対する変化を観察し、改善傾向が見られる場合はカウンセラーによるカウンセリングのみに切り替えて、経過観察を行うなど本人に必要な支援などを行える体制を整えることで非行やいじめなどを減らすことが出来るのではないかと思うのだ。


 特に子どもの頃から虐待等を受けてきた子どもにとっては“暴力は相手をコントロールする手段である”という認識が大なり小なり芽生えており、これらの心理を“いかに早期に気付き、早急に取り除くプロセスを考え、そのプロセスを子供の成長と共に実行する事で精神的に緩和出来る”というサイクルを確立させるかが連鎖的な人を傷つける行動を軽減させる、相互理解を進める上で妨げになる偏った考え方を排除することにつながるのだ。


 ただ、難しいのはこれらが1日から数ヶ月程度の短期の体験・経験による記憶の場合は上に示したようなプロセスが取れるが、数ヶ月以上になると個人差はあるが、傷つけられてきた側は似た状況になることでパニック行動や自傷行為などが始まる可能性もあり、傷つけてきた側も無理に止められることでパニック状態になる可能性がある。


 そして、1年以上が経つとその行為自体が習慣として認識されてしまうことになるため、自分の行為に対して、正誤の判断が出来なくなるもしくは出来たとしても自分の立場のみ理解しているという状況になってしまう可能性があるからだ。


 仮にこの状況になってしまうと行動療法と認知療法を必要とする“医療的ケア”が必要になる可能性があり、これらの受診を始めたとしても最低半年以上の期間が必要になるため、早期から治療を始めないといけないのだが、問題としてこれらの治療を受けられるだけの経済力と理解力があるかという点が課題になる。


 なぜなら、現在はこのような状況になる子どもは家庭の経済状況にかかわらず増えており、問題の根底にあるのが“子どもの社会的価値観”と“親の社会的価値観”による他者比較や他責思考が伴う誹謗中傷が日常的に起きていることや“社会的立場”や“社会におけるパワーバランス”など個々の考え方に序列が発生している場合に起こりやすいのだ。

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