第4話:虐待の発生 ③-1

そのため、これらの問題やトラブルに対して指導を受ける側と指導される側の個別認識や起きた事に対しての受け止め方によるズレを修正することが出来て、指導する側が適正なアプローチが出来ているか、相互理解に移行しやすい環境で育ってきているかを考えなくてはいけないという状況も浮き彫りになることもある。


 そのため、実際にトラブルが起きた場合には学年問わずにトラブルの発生から時間をかけないで状況把握まで持っていき、状況把握した内容を基にして必要な指導を子どもたちに時間をかけて教えていく、定着させることが大事だと私は思っている。


 特に小学校の場合は状況がかなり複雑化している事や起きるトラブルや問題の多くが多角的に波及する状況になる可能性がある内容が多く、中学校や高等学校で発生するレベルのトラブルや問題も解決には知識や指導する側の体験・経験など必要になる実績が求められるため、その実績を持っていない場合には指導経験のある先生と共に指導に当たることも検討しなくてはいけないだろうし、指導するにもかなり時間がかかるのだが、最も難しいのは子どもたちと接するために必要な向き合い方をどれだけ多く知っているかだ。


 現在は子ども毎に同じ向き合い方をしたとしてもうまくいく場合とそうではない場合が顕著になっており、指導する側も高度な知識や指導経験、子育ての経験が求められる場面も以前に比べると増加傾向にある。


 これは“時代の変化”と“社会的価値観の変化”など個人だけが変化しているのではなく、社会全体で変化している状況がこれらの状況を作り出しているということになるのだが、難しいのはこれらの変化に対応できている子どもとそうではない子どもが二極化する形になり、これまで起きていなかったいじめが発生しているという最悪の事態を引き起こすという事だ。


 これはあらゆる観点から考える上でも避けては通れない問題だと私は思っている。


 なぜなら、現在は流行を取り入れている子どもが多いのだが、その流行の物を買うためには親の経済力や親の理解などそれぞれに超えなくてはいけない課題がたくさんあるため、全ての子どもがその服を買えるだけの経済力がある家庭で育っているわけではないのだが、これらの状況を理解する事が難しく、その服を持っていないことで仲間はずれにされることや同じ空間にいる事を拒否されるなど子どもたちが学校という環境になじめない要因になってしまう可能性もあるのだ。


 特に洋服に関してはかなり子どもたちにとっては深刻な問題になることも多く、着ている服で差別や偏見などを持たれることも少なくないのだ。


 これは私も経験した事があるが、私が小学生だった当時は着ている服でその家の経済状況が分かるくらい服に関しては個人の第1印象を決める重要なポイントだった記憶がある。


 だからこそ、体育がない日はどれだけイメージを崩さない、違和感のない服を着ていくか、普段着る服としてどんな服を買っていくかを考えていた記憶がある。


 そのため、当時は“自分の身の丈に合った服装を揃えないといけない”と思っていた事も多かった。


 一方で、1年中私服ではなく、体操服やジャージなど私服を着てこない人も多かったが、この人達に対してはあまり干渉されることはなかった印象もある。


 ただ、学年があがるとやはりファッションセンスや着てくる服に対してレベルが上がっていたのか、高いブランドの服を着ている子も多く見かけるようになった。


 しかし、中には新しい服を買ってもらえず、似たような服で学校に来る子もいたため、その子に対する視線はかなり冷たく、中には不登校になってしまった子もいた。


 私はこの状況を実際に同じ空間で過ごしていて、“今は難しい時期なのかもしれない”と肌で感じたこともあった。


 そして、“着ている服が少し違うだけでこんなにも1人1人の距離感が遠く感じるのか”と教室内や校内の空気を自分で感じたときに思った。


 現在は学校の先生ではないため、校内の雰囲気や子どもたちの人間関係における現代の基準などは分からない事が多いが、少なくとも私が小学生だった頃よりも着ている服なども大きく変化していることや新たな課題が山積しているということは情報を調べたり、友人などから話を聞いたりしていく中で感じている。


 しかし、以前に比べると“多様性”や“自由選択”が増えたことで全てのことを家庭で判断する事も同時に増えており、これらの変化が親から子どもに対して着る服を限定しているもしくは幼少期から流行の服を着せているということが増えている要因に直結しているのではないかと感じているのだ。

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