第3話:虐待の発生 ③
しかし、長年“学歴社会”や“実績主義”など個人評価の観点がかなり高度化したことで採用における価値観が仮に方向転換し、異なる価値観で再開したとしてもこれらの価値観が全体に行き渡ることでマッチングの観点から人材育成が難しい状況が出来てしまう可能性があり、人材の採用基準もかなり高くなっているような印象を受けるのだ。
そのため、企業や組織が個人に求めるレベルが上がることで今度は個人が求める教育や習い事の選択肢の変化、両親の子どもに対する体験・経験を可能な限り増やしていくことで体験・経験機会の差別化など家庭経済力が子どもたちの将来に直結しやすくなっている現状を考えると、いかに個別経済力を向上させて、その経済力の向上が良い人材を育てる原資となっていかなくてはいけないのだが、現在の日本社会においてこの部分の個人格差が良い人材が出たとしても海外への流出や本人が望む環境が異なっている事で“自分が求める環境を求めて外に出る”・“起業する”のように組織に属するのではなく、個人で理想の、自分が求める考え方を社会に対して発信していくということも増えてくことになる。
ただ、このような考え方を持っている子どもに対する親の価値観や社会的立場が長年変化していないことや親の育ってきた環境によってはその選択肢を親が経験していないことでその選択肢を否定的に捉えて、子どもたちの可能性を潰してしまうという状況も考えられるのだ。
この状況が出来てしまう入り口にあるのが“口撃的虐待”という子どもがやっている事に対して親がこれまで正しいと思っている事ではないときに親の体験・経験の観点から子どもに注意する事が多いのだが、この行為に対して子どもたちが混乱する要因になるだけでなく、“自分の判断が間違っているのではないか”や“何でダメなのだろう”という自分で判断して考えてきたことが十分相手に対して伝わらないことで、実際に社会に出たときに消極的な考え方をするようになる事や意見を求められても自分の意見を言えないという自分に対する自信や自己肯定感が低下する事も考えられるのだ。
そして、自己肯定感が下がることで自分を認めるのではなく、相手に対して攻撃することを覚えて、自分のストレスを第三者に向けて発散するなど虐待と類似する構図が出来てしまう可能性があり、これらの構図がそのまま子どもの行動観につながる可能性も否定出来ない。
これは1つの連鎖として考えられる事なのだが、幼少期から口撃的虐待を受けている子どもは日常的に罵詈雑言を言われて過ごしているため、類似する言葉を相手から言われるなどふとしたことでフラッシュバックを起こす可能性があるのだ。
そして、その発言をされたことで相手に対して強い憎悪感を抱く事やその行為に対して親御さんなどから言われてきた、やられてきたことで自分が他の人にやっても問題ないという感覚が芽生えてしまい、仮に問題のある行動をしたとしても行動を重ねる度に罪悪感が薄れていくという心理状態になり、自分を正当化してしまう傾向も集団生活が始まった当初に発生するトラブルや問題行動と時間が経ってから発生するトラブルや問題行動では双方の受け取り方が異なることや認知してからの経過日数との関係から考えても“状況が複雑化する”・“心の傷が深くなりやすい”という加害者側の精神ダメージよりも被害者側の精神的なダメージが大きくなるという懸念がある。
そして、起きるトラブルの多くは価値観の違いだけでなく、着眼点の違い、家庭教育における社会的評価の違いなど子どもたちが学んできた、幼少期から習得してきた、体験・経験してきた事の違いから起きている問題が多い。
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