第40話 先に進む度にダンジョンが強くなるお約束
10階層
ライズ達は土トカゲと戦闘していた。
人の身体ほどに大きな体躯に、口から石をドコンドコンと発射してくる。
類似モンスターにはサラマンダー……火を吐くトカゲモンスターがいるのだが、サラマンダー以外の属性のトカゲはなぜかマイナーである。
その一撃は強力であり動きは俊敏、上級冒険者でも苦戦は免れない魔物である。
土トカゲは何ら役に立たないスケルトンを体当たりで打ち壊し、アリスティアやリースレットの魔法を器用に避けながら人の頭ほどの石を吐く。
「ウィンドインパクト!」
土トカゲの横に回ったライズはその脇腹に風魔法をぶつけて体勢を崩す。
その隙に、土トカゲの口の中へナイフを突き刺して、「ウィンドバースト!」と唱える。
土トカゲは内部からの衝撃に耐えきれず、爆散した。
「はぁ、なんだか、ようやく出番が貰えた気がするよ……」
ライズは息を吐き出し、整える。
「ねぇねぇ、あたしさ、今恐ろしい事に気付いちゃったんだけど、言って良いかなぁ?」
リースレットはそんな前置きを置いてから
「ここの魔物、水の迷宮より強くね?」
「あぁ、我もそう思う。
1階層から9階層では多少、という程度だったが、ここへ来て確信した」
「??そーなの?あたしは分かんないけど」
ダンプロに参加したばかりのユティアはともかく、ライズも2人に同意見だった。
「むぅ、水の迷宮より土の迷宮の方が難易度が高いという事か?
しかしそのような情報は一切聞いていない」
「ん〜、ティナちゃんがユティちゃんに代わって、総合力減ったの考えても、あからさまに強いしにゃあ」
「悪かったわね!あたしだって攻撃に専念する気なら活躍出来るのよ!
ヒーラーなんて本来不向きなんだからね!」
(偽物とはいえよく聖女になれたな……)
とはいえ、ここまで来る間にも多少ではあるが彼女の回復魔法に頼る事もあった。
まだ10階層なのでこの先、さらに戦闘が激しくなれば謎だが、今のところヒーラーとして不足はない。
「む……もしや、迷宮を1つ攻略する毎に他のダンジョンのレベルが上がる仕組みか?」
アリスティアが推測する。
「は?レベルが、上がる……?」
「6つのダンジョンが、同じ神の生み出したものであるとするならば、そうした仕掛けを作る事もあり得るだろう。
簡単に攻略されては、ゼオ神とやらもつまらんだろうからな」
「つ、つまり、今回ここのダンジョンを攻略したら、他のダンジョンの難易度も上がるって事?」
「可能性はあるだろうな」
ライズは頭を抱えた。
別に、水の迷宮だって決して楽に攻略出来たわけではないのだ。
この先攻略の度に難易度が上がるのでは、明らかに自分等のレベルが足りない。
「今はそれを悲観的になる段階ではないだろう。
たとえ難易度が上がろうと、王国の為には呪いを解かなければならないのだ。
悩むなら後でレオンや国王の元へ帰ってからでも遅くはない」
「アリスティア……うん、そうだよね、今はこの迷宮の攻略を考えないと」
先の事を考えるには早い、まだ土の迷宮でさえ、半分も攻略していないのだから。
(城に帰ったら、父さんに修業でも付けてもらった方良いかもなぁ。
キツイからやりたくないんだけど)
ライズは気を改めて持ち直し、このダンジョンに挑む事とするのだった。
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