第22話 王家のスキャンダラスなネタバラシ①
「良くぞ、戻って来たな」
光が晴れると、目の前には国王とレオンがいた。
(ここは……玉座の間?)
「ライズ!あぁ、僕の愛しきライズ!よく無事で!」
レオンは感極まったようにぎゅむっと抱きついて来た。
「ちょ!?レオン王子!人前ですから!」
「はぁ……はぁ……僕の、僕のライズが、あぁ、幸せ過ぎて死ねる……!」
「勝手に死なないでください、王太子なんですから」
意地でも抱き付くレオンを強引に引き剥がす。
「へ?あ、え?王子?
お、お姉ちゃん、王子様と知り合いなの?」
(はぁ、やっぱり聞かれるよなぁ)
目を白黒させるティナにどう説明しようか考えていると
「へぇ、お貴族様付きの暗殺者だとは思ってたけど、なるほどぉ、流石に王族お抱えの暗殺者だとは思わなかったにゃあ」
リースレットは興味深そうにライズをジロジロと見ていた。
「なるほど、レオンにお気に入りの暗部の人間がいるとは聞いていたが……」
「へ?え?え?
王子のお付き?ライズ殿はそんなに偉かったでござるか?」
状況を最も飲み込めない寿は、より一層動揺していた。
「はぁ、もう隠す事も出来ないから自白するけど、私は王国暗部の一員だよ。
育ての親が王国暗部の人間で、その縁で小さい頃から王子や陛下にも良くして頂いた。
とはいえ、所詮は孤児だし、影側の人間だし、偉いもへったくれもない」
「でもさぁ、王国暗部の人間なら、人殺したって揉み消してもらえるじゃん。
なんでダンジョン攻略なんかに駆り出されちゃったの?」
「揉み消せないレベルのポカをやらかしたんだよ。
お陰で、死刑になりかけて、それをダンジョンガールズプロジェクトに参加する事でなかった事にしてくれたんだ」
しかし、今はそんな過去の経緯などどうでもいいと思える事態に直面している。
「あの、国王陛下、実は、そのダンジョンについて、色々と疑問な点が……」
「分かっている、我々も見ていたからな」
国王は頷いた。
「??見てたって、何の事?お姉ちゃん?」
「む、もしやライズ、お主も監視役だったのか?」
アリスティアが目を見開く。
「へ?って事は、アリスティアも?」
「うむ」
アリスティアは髪を掻き分け、耳たぶにピアスのように付けられたカメラを見せてくる。
(うっわぁ、よりにもよって監視役が1つのパーティに集まっちゃうとか……)
「実は、このダンジョンガールズプロジェクトにおける肝は罪人にダンジョンを攻略させる事の他に、その攻略風景をテレビに映して有料放映する事でな。
我らは罪人の動向を監視すると共に、配信役も担っていたのだ」
「うわっ、何それ趣味悪っ!?
プライベート無視!?」
「とはいえ、それ以外は我らもお主らと条件は変わらぬ。
いつ死んでもおかしくない状態だったし、事実、監視役が命を落とした事もあった」
ライズの脳裏には、3人組の子供達に殺された監視役の女性が思い浮かんだ。
「まぁ、僕も頭の悪い企画だとは思ったんだけどね……思ったより儲かったよ、このまま配信し続ければ国債返してお釣りが来ると思う」
レオンが喜ぶべきか呆れるべきか……と微妙な表情を浮かべる。
「うむ、今後は魔法の国から万能魔導接続器(SNS)も取り入れ、新規ビジネスも行おうかと……」
「アホな事言ってないで書類の1枚でも片付けろ……と言いたいのに、結果が出てる現状、何も言えないんだよ」
「レオン様……心中お察しします」
と、そこでライズは話が逸れてしまっている事に気付いた。
「あの、陛下、それで、アクアニアスの言っていた事なんですが……」
「うむ、そうだな、単刀直入に言えば、アクアニアスの言っていた事は事実だ」
「それって……」
(いや、まさか、ありえない、もしそうだったら私は……)
しかし、ライズの願いは虚しく、王は真実を告げる
「お前は、私の息子……そして、レオンと共に同じ母の腹より産まれた、双子の兄弟だ」
(実の親に、暗殺者に仕立て上げられてたって事?)
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