第21話 これは何かの間違いだ
最下層に辿り着く。
そこは、神殿のような場所だった。
青く発光する壁に囲まれ、床には魔法陣のようなものが描かれている。
奥には祭壇。
そして、部屋の中央には青髪に、白と青の神官服を身に纏った少女が佇んでいた。
「来ましたか、業深き王家の者よ」
「は?」
少女は瞳を開ける。
サファイア色の澄んだ瞳は一度ライズ、次にアリスティアへ留まる。
「私の名はアクアニアス。
悪しき王神、ゼオの娘」
「ち、ちょっと待って、何、今の王家の者って?それに、神の王?えっと、理解が追い付かなすぎるから1から話して欲しいんだけど」
ライズが頼むと、アクアニアスは目をパチクリとさせる。
「何も知らないのですか?
てっきり、ゼオを殺す為の秘宝を求めに来たのかと思いましたが」
「いやいや、知らないよ、そんなの。
私達は、恩赦目当てでダンジョン攻略に来ただけで。
まさかダンジョンのボスが生身の人間とか思わなかったし。
というか、君がボスなの?」
「ダンジョンに発生するモンスターの根源……という意味であれば、私ではありません。
ここに来る途中でドラゴンを倒しませんでしたか?」
「えっ?あれ、ダンジョンボスだったの?
てっきり中ボスかと……」
「間違ってはいませんが……少なくとも、魔物の流出を抑えたいだけであればドラゴンを倒せば問題ありません」
「マジか……」
「しかし、ダンジョンそのものを滅ぼすなら私を倒す必要があります。
そうした意味では、私はダンジョンボスと言えるでしょう」
「いや、別にダンジョンを壊したいわけじゃないよ。
魔物が湧き出し過ぎたら困るけど、ダンジョンは資源だからね」
そんな事より、ライズには気になる事があった。
「それで、王家の者ってどういう事?
ゼオって誰?
なんでダンジョンの中に王家の家紋があるの?」
「本当に知らないのですね、王家の者よ」
「それ、私に言ってたの!?
何を勘違いしてるかは知らないけど、私が王家の人間だなんてありえない。
だって、私は孤児なんだから」
「孤児……なるほど、アナスタシアは双子の星を見たと教えてくれましたが、今代の王も同じ過ちを繰り返すのですね」
「??」
「この王国も、終わりかもしれませんね。
200年前と、何も変わりはしない」
「??訳が分からないよ」
「あなたにとっては、知らない方が幸せかもしれませんね。
しかし、知りたいと願うなら国王が真実を知っているでしょう。
そして、これをあなたに授けます」
アクアニアスは祭壇から腕輪と、青い宝石を差し出してきた。
宝石は腕輪にカチッと嵌る。
「あなたの未来に後悔無きように。
たとえ、光の道へ向かうとしても、破滅の道へ向かうとしても……」
途端、床の魔法陣が淡く輝いた。
「え?ちょ!?」
「安心してください、王城の魔法陣に繋げるだけです」
なぜダンジョンの魔法陣が王家の城と繋がっているのやら。
そんな事を考えている間に、ライズ達は光に飲み込まれた。
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