番外編if 思いもしないご褒美
※大雨の後、灯織がエマに会ったことを冬弥に話したifです。本編では話していません。ちょいエッチなストーリーを思いついたので載せます。
☆
「えっ……エマに会った!?」
大雨により臨時休業となった、家のリビングにて筋トレしていた冬弥は、灯織の話を聞くなり飛び上がった。
「マジか! おいおい!! マジか!!」
「えっ、何……うるさいんだけど」
灯織は引いている。彼女はリュックを下ろしてから、ジャンバーをハンガーに掛けた。
「どれくらい話したんだ?」
「ま、そこそこって感じだけど……」
冬弥は灯織の話を聞きながら腹筋ローラーを使って筋トレをしていた。
マットを敷いて、その上でストイックに腹回りを鍛えている。その様子を見て、灯織はため息をついた。
「てか、筋トレなら自分の部屋でしてくれない? 暑苦しいんだけど」
「いや、えっと、その、運動するスペースがないっていうか……」
「でも割と広いよね? なんで?」
「……なんでだろうなぁ」
「それ絶対床に物置いてるからでしょ!? 片付けろ!」
「しょうがないだろ! なんでいちいち学校の先生は連絡やら何やら全部紙でよこしてくるんだ! データでくれればいいのに!」
「全然スマホ開かないくせによく言うね……」
灯織は呆れ返った。どうやら、エマと出会った経緯を話す前にやるべきことがありそうだ。
「……わかった。掃除。手伝ってあげる」
「いいのか!? よっしゃあ!」
灯織は音速で立ち上がった冬弥と共に、部屋の前までやってきた。
何気に初潜入なので、少し緊張する。ドアノブにかける手が少し震えた。
「お邪魔しま………………って」
灯織は顔を歪めた。飾り気のない素朴な部屋であったが、床にプリントやらペットボトルやらが大量に転がっている、いわば地獄のような光景が広がっていた。
「何これ。筋トレどころか足の踏み場すらないじゃん」
灯織は顔をひきつらせながら、そんなことを言った。冬弥は何も返す言葉がなく、誤魔化すように笑っていた。
「性根は貧乏人ってこったな」
「うわ……」
灯織は部屋を見渡してから、ため息をついた。床には学校で貰ったプリントが散乱している。ペットボトルや参考書も盛りだくさんだ。
「……あーあ、なんでこんな状態になるんだか」
「はは。テスト勉強に全てを注いだ結果だな」
「全教科わたしにダブルスコアで負けてた癖に何言ってんの」
灯織は軽口を叩きつつ、四つん這いになって紙をまとめ始めた。
大雑把に必要そうなものと要らなそうなものに分けていく。中でも紙は授業で貰ったものが多く、きちんとまとめていない様子が伺える。この辺のだらしなさが成績の低さに繋がってるんだろうな──と、灯織は分析してみる。
「はは……まったく、灯織にはかなわないな」
冬弥は苦笑しながら、床に腰を下ろそうとした。
「……!」
すると、冬弥のスケベセンサーが発動した。
四つん這いになった灯織が、こちらにおしりを向けていたのである。シンプルにエロかった。バドミントン用のハーフパンツを履いているから、太ももの露出も多い。
冬弥は、部屋の入口からそれをガン見していた。神よ──ありがとう。俺は幸せ者だ。
「何してんの。そっちも掃除して!」
「あ、悪い……」
灯織の声には、少々怒気が込められている。冬弥は大人しく掃除に取り掛かることにした。
「と言っても、捨てるものばかりな気もするがな」
「そう? この答案用紙とか恥の結晶として残しておくべきだと思うけど」
「恥の結晶!?」
冬弥はそう言いながら、ペットボトルの残骸を回収した。中で変な菌が繁殖していそうだ。さっさと捨てよう。
「いい感じに片付いてきたな。そっちは……」
冬弥は部屋を綺麗にする楽しさを感じつつ、後ろの方を振り返った。
「えっとねー」
「!?」
そこには衝撃的な光景が広がっていた。
こちらに向かって四つん這いをする灯織の胸元が、顕になっていたのだ。
……なんということだ。下着はおろか、頑張ればおっ円周率の方も見えそうで。
「おっ……おっ!?」
冬弥は必死に目を背けた。いざこの状況に出くわすとなると罪悪感の方も押し寄せてくる。
しかし、好奇心の方も同時に心の内側から顔を出してきて。冬弥は自分の理性を制御するので精一杯だった。
「あっ、数IIの授業プリント……何してんの。これ無かったら勉強できないでしょ」
しかし灯織は気づかないどころか、さらに冬弥の方に近づいて、上目遣いまでしていた。
その時、冬弥の目はあるものを捉えた。下着だった。灯織のTシャツの隙間から白いそれがチラッと見えていた。さらにその下には、大きくは無いが魅力的なたわわが潜んでいて────。
あっ、谷間が、谷間が…………!!
「ガバッ……グホッ!」
「どうしたの!?」
冬弥はその刺激に耐えられなくなり、ペットボトルの上に身体ごと倒れた。
「灯織……他の奴には絶対やるなよ……」
「何を!?」
こうして、冬弥の部屋掃除は終わりを迎えた。その時彼は鼻血を垂らしていたとか、垂らしていなかったとか────。
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