3-7 雪家の双子
弟の
ふたりとも頭の天辺で長い黒髪を白い髪紐で丁寧に結っており、背に
「ということで、今回の仙術大会は君たちふたりに行ってもらう。私も行きたいのは山々だけど、同じ頃に
本人の言うように次期宗主である
もともと
残っているのはまだ術士見習いの若い少年たちばかり。そんな中、後ろには宗主である
いつもの飄々とした雰囲気そのままに、にこやかにそんなことを言っている時点で、威厳という二文字はすでに背後で崩れ落ちてしまっているが····。
「
五大一族の中でも一番の年長者である
「お言葉、感謝します」
「精一杯、頑張りまーす」
やる気の有無がわからないような返事をした
いつものことなのでふたりは笑みを浮かべていて、特になんとも思っていないようだ。
「
宗主の夫人で
夫人は嬉しそうに笑みを浮かべて、そのまま宗主の横へと戻って行く。少し重みのあるその袋の中身がなにかは、わからないまま。
「ふたりとも、頑張ってきてね!」
それには若い術士たち含め、宗主も
翌日、ふたりは少ない荷物を背負い、
******
中央に位置する
「ふたりだけで旅をするの、初めてだね」
夏と秋の間くらいの季節。心地よい風が頬を撫で、空は快晴だった。
「うん。
「そう? でもそうかもね。自分より強いひとたちが大勢集まってて、そのひとたちと手合わせができるなんてすごく良い経験になると思うよ。それに、」
「
普段はあまり表情の変わらない
「うん。時間があったら、また一緒に買い物したり料理したりしたいね」
「ってか、時間作って絶対にする」
「ふふ。そうだね。でも
「わかった」
素直に頷く
もちろん、そんなことは許されないだろう。彼はあくまでも
「
そうなると、自分たちは次に逢った時にどう接すればいいのかものすごく迷う。
「確かにあの子は神子だけど、本人が今まで通りでいいって言ってるから、その望みを叶えてあげてくれる?」
と言っていた。
あのひとがそう言うのなら、そうなのだろう。
「なんだか不思議な縁だよね」
だが奉納舞が始まった時、その場の空気が一瞬で変わったのを肌で感じた。
「あの時からきっと、始まっていたのかも」
「うん、」
「いいかい。今回の仙術大会はなにかいつもと違うことが起こる気がする。そうなった時にどう行動するかが、重要だよ? どんな些細なことも見逃さないこと。君たちふたりなら、きっと大丈夫」
いつもと違うこと、とはなんなのか。
なぜ
期待と不安が入り混じる中、ふたりは
ふたりなら大丈夫。
そうやって今まで生きてきた。だからなにが起こっても、きっとふたりで乗り越えられる。
そう、信じて。
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