2-30 願いの先
鳳凰の儀から数日後。
白獅子、
「
鳳凰殿には
「
実際、朱雀は宝玉を通してこの地を守護していたのだが、それを直接的に感じていた者はいないだろう。この地の地下、あの場所でひとり。いつか訪れるだろう神子を待ち、この地を見守っていたのは事実である。
「うん、
ちょっと変わったひとだが、根は優しい四神だと
神と名の付く存在は、信仰する者がいてこそ力を発揮できる。
「
「そうか。ひとつだけ、忘れないで欲しい。君が困った時は、この地を、俺を頼ってくれていい。今度は俺が君のために動く。それに俺は君を諦める気もない。もちろん、ふたりの邪魔をするような無粋なことをするつもりもないが、気が変わったらいつでも言ってくれてかまわない」
冗談なのか本気なのかわからない、読めない笑みを浮かべて
「いい加減、神子殿を揶揄うのはやめるべきです」
「私も神子殿の嫁入りは大賛成ですが、残念ながら望みは薄そうですな」
うるさいぞお前ら、と
「ありがとう。俺、この旅を通して、自分がなにをしなちゃならないのか、少しだけわかった気がするんだ。神子として、だけじゃなくて、自分自身がどうしたいか、なんとなくだけど」
この先、なにが起きようとも。揺るがないものがある。この国のため、なんて大それたことを願うつもりはなくて。守りたいものを守る。そのために、頑張る。ただそれだけのことが、本当に難しいということも知った。
「次に君に逢うのは、来年の
「どうかな。俺、
へへっといつもの調子で頭の後ろで手を組んで笑い、
本人が望む望まないに関わらず、その運命は変えられない。
そうやってこれから先、神子として生きていくことを、どう思っているのか。
(私は、君に何をしてあげられるだろう。君が望むこと、したいこと、すべてを叶えてあげたい。けれども君は、本当のことはいつも隠してしまうから)
(
神子の心を守るために、必要なことだった。自分が傷つくことよりも、他の誰かが傷付くことの方が怖いのだと。痛いのだと。悲しいのだと。
それでも、
鳳凰殿を後にした無明たちが珊瑚宮へと戻る中、
「伯父上、俺、色々と考えたんだけど、」
「うん、」
「俺、伯父上に負けないくらい強くなって、この国を視る白獅子に、なる」
「なる、か。その真っすぐな気持ちを、忘れないことだ。
少し離れた所を歩く
「でも
「よし。まずはその大きな一歩として、仙術大会で結果を出すこと。日々の鍛錬を怠らない事。精神を鍛えること。やれることはたくさんあるよ」
はい、と
奴らが
「
「そうなんだ! 俺も行きたい! ね、いいよね?
そして、新たな旅立ちの朝。
向かうは豪華な楼閣が立ち並ぶ都、
またの名を千年不夜の花街ともいう。
昼と夜、まったく違う顔を持つその
そこで待つもの。
それは、新たな出会いと、再会。
様々な想いを胸に、その一歩を踏み出す。
******
第二章 鳳凰 ~了~
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます