2-21 鳳凰の儀
鳳凰の儀。設けられた席で見下ろす形で開幕を待つ
二年に一度行われるというその催しは、
それは、開幕直後に行われる鳳凰舞ももちろんだろうが、その後に始まる
しかも現宗主である
「すごい盛り上がりですね。なんだか縮こまってしまいそうです」
自分たちとは別の場所で集まっている、今回の鳳凰の儀に参加をしない者たちや、ちょうど舞台を挟んで真正面に座っている
それぞれの思惑が交差する中、いよいよ開幕を告げる舞が始まろうとしていた。
「伯父上、上手くいくと思いますか? 俺たちは、ここで見守るしかないなんて、もどかしすぎます」
右隣に座る伯父、
ここから舞台までは近いようで遠い。
「そうだね。どうなるかは始まってみない事にはわからないけれど、私たちにできるのは、どんな些細な動きも見逃さない事、でもある」
「どういう意味ですか?」
「始まれば当然、皆が舞台に注目するだろう? つまりその周りは散漫になる。まあ、それを回避するために
その他の者たちも裏で密かに行動しているのだが、すべてを把握しているのは店主である
「どこから誰が狙っているかわからないこの状況で、舞台の上だけを心配していては、寝首を搔かれてしまう。いいかい、
「国を視る、ですか?」
まだ白獅子を引き継ぐとは言っていないが、いずれそうしたいと思っている
(俺もいつか、伯父上みたいになれるだろうか?)
穏やかで余裕があって、強くて優しくて、いつでも間違わずに冷静に判断ができる。そんな格好良い理想の大人になれるだろうか。なんだか今の自分とは、真逆な部分の方が多い気もするが。
「あ、
奥から現れた
一応、設定上は少女で、
「
それはいつものことなので、
「········問題ない」
「そういえば、
「それも問題ない」
あえて言うならば、
「
「それなら心強いですね。
そんな
そんなことをしている内に、笛の音が響き始める。笛の音に続くように琴や琵琶の音がどんどん重なり、楽師たちによる演奏が始まった。
そしてその音楽に合わせるかのように、
ふたりが動き始めた瞬間、周りの空気ががらりと変わったのを感じた。途端、ざわざわとしていた民たちは舞台上のふたりの舞に釘付けになり、人の声は一切無くなった。
楽師の奏でる音楽と、ふたりの衣が擦れる音、激しく動く度に息遣いさえ聞こえて来そうだった。この見事な舞を前にして、舞台以外を視ることなど誰ができるだろうか。
あんな短期間の練習であそこまで完璧に舞える
「本当に見事な舞だね。あの子があの痴れ者の第四公子だなんて、ここにいる誰が信じるだろう」
しかも宗主との息もぴったりで、寸分の狂いも乱れもなく舞っている。それは見る者を飽きさせないような緩急のある舞で、単調な舞とは全く印象が違った。
(やっぱり、
ふたりの鳳凰舞は、そこにいるすべての者たちを感動させ、やがて舞が終わり動きが止まる頃には、大きな歓声に包まれていた。
そんな中、ある者たちが不審な動きを見せていた。監視していた者たちは、即座にお互いにしかわからない合図を交わし、それを他の者へと伝える。
そしていよいよ、宗主を決めるもうひとつの鳳凰の儀が始まる――――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます