2-16 痴れ者、舞う
宗主としても多忙な
「
「そうそう。本当に理解の早い子だね。合ってるも何も完璧だよ」
「へへ。おばあちゃんに褒められるの、すごく嬉しいっ」
あの堅物の
意外にも複雑な舞なので、ひと月はみっちり練習が必要だ。それなのに、たった数日、しかも時間も少ない中で完璧に舞えていること自体、すごい事だった。
(あの
痴れ者の第四公子。それが目の前の者だとは誰も思うまい、と
「宗主、ご挨拶申し上げます」
本番で纏う赤い花嫁衣裳を纏い、肩には朱雀である
長い髪の毛は高い位置で一本に括られ、赤い髪紐で結ばれている。
「
「
「構わない。彼は特別だからな。お前こそ、いつもなら俺にさえ"師範と呼べ"と煩いくせに、
それとこれは別です、と
相手はあの
「鳳凰の儀は明後日だ。もしかしたら、これが最後の合わせになるかもしれない。明日は準備の最終確認もあるし、時間が取れるかわからないからな」
「そっか、じゃあ初めから通してやった方が良いかなぁ。
そんな風に
なぜなら、
「通してやるのがいいだろう。疲れていないか? 休まなくても平気?」
「大丈夫。じゃあ、始めよう!」
本番は楽師たちによる楽器の演奏もあり、練習では代わりに
ふたりは広間の中心で、舞を舞う。
緩急が激しく、見ていて飽きないような構成になっており、それはまるで大きな翼を広げた鳳凰の如く、ふたりでひとつという形になっている。
ぴたりと最後の音で止まり、ふたりは顔を見合わせる。完璧と言っていいだろう。
「おふたりとも、見事でした」
「へへ。やったね、
そうだな、と
他の従者や一族の者たちの前での自分。福寿堂にいる昔の仲間たちの前での自分。どれも自分に変わりはないが、どうも
赤い花嫁衣裳の袖から覗く色白で細い手を取り、
案の定、
「
その言葉は、どこまでも真摯で。
その眼差しは、どこまでも真っすぐだった。
「うん、俺、頑張るよ」
翡翠の瞳を細めて、
そんなふたりの雰囲気を邪魔してはいけないと、
(あの
心の中でそんなことを呟きながら、宗主の嫁になるかもしれない
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