2-6 賭けをしない?
話を聞き終えた
「それで? それに協力したとして、私になにか良いことはあるのかしら?」
「あなたが鳳凰の儀を邪魔したい本当の目的は、ひとを操って争わせ、それを見て楽しむこと、なんでしょ?
それは正解、と片目を閉じて
二年前は老師ふたりも含め、ろくでもないが最強と謳われた当時の宗主の暗殺を目論ませ、新たな宗主を卑怯なやり方でその座に就かせた。その年の鳳凰の儀で、
「あれは、なかなか楽しめたわ。私は
あの手この手でこの二年間、色々と画策してみたが、どうも上手くいかなかった。鳳凰の儀は最高の舞台。次こそは地面に膝を付いて、悔しさで歪む顔を見たいと思っているのだ。
「だから、
はあ、と嘆息して、不服そうに口を尖らせた。
無駄に力を使って、自分の正体をバラしてしまったようなものだ。これでは、ここにはもう長居はできない。ここの生活はそれなりに気に入っていたのに、と
「あなたが特級の妖鬼だと気付いているのはほんの一部だけ。俺が黙っていて欲しいと言えば、黙っててくれると思う。もちろん、これからは悪いことはしないって前提でだけど。それに、
「そんなの、私の気分次第ね。面白くないと思ったら、それまででしょ?」
「じゃあ、俺と賭けをしない?」
「賭け? どんな?」
楽しそうに
「鳳凰の儀で最後に立っているのが、誰か。俺はもちろん
「あら、それは結果的にあなたの提案に協力することになっちゃうじゃない」
彼らがどんな手を使おうが、
「うん、だから、正々堂々悪いことしていいよ! いっぱい卑怯な手で邪魔しても、誰にも文句は言わせないから」
「それ、あなたが言うの?」
え? 駄目? と
「でも、ひとつだけ約束してくれる?」
ひたすら笑った後に、真剣な声が聞こえてきたので、
「これ以上、誰も殺さない、殺させないで」
その慈しむような表情に、思わず言葉が出て来なかった。
どうしてこんなにも、この目の前の者に惹かれるのか。惹き込まれるのか、自分でもわからない。
それはまるで呪縛かなにかのようで、けれども心地好いとさえ思える。
「私が直接、鳳凰殿の前まで送るわ」
その意味を、
交渉が成立し、一連の黒幕であった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます