1-25 紅宮の主
鳳凰殿を後にした
この鳳凰殿は常に誰かが見張っているのだと
「
「わかった。じゃあ俺たちはとりあえず珊瑚宮で待機だね、」
朱雀との契約の後、意識を失っている間に遭遇した者たちに、
幼子姿の
「俺はあなたの子供っていう設定だから、これが自然でしょ?」
「うん、なんだが不思議な感じだけど、
そうしていると、本当に親子のようだと
その身なりから、彼女たちが
それぞれ薄い桃色、黄色、緑色の上衣下裳を纏い、肩に同じ色の
女性が拱手礼の代わりにすることがある万福と呼ばれるその挨拶は、とても丁寧で美しく見える。
(宗主サマたちの予想通り、あちらから接触してきたか······)
しかも子持ちの若い娘という設定なのだ。
(まあ、そんな滅茶苦茶な設定の嫁候補を、
宮女のひとりが口を開く。
「朱雀の
「ちょうど良かった。
陰になって見えない表情とは裏腹に、にこやかな声で
(すごい!
(
自分たち以外は、彼が
「では、どうぞこちらへ。お子様も、従者の方も一緒に、」
子供は十歳になるまではこの宮にいても良いとされていて、妻たちは基本的にこの宮で一生を過ごす、のが本来の在り方だが、
その言葉のせいか、逆にほとんどの者たちがそのまま残っているらしい。
故に、敷地も広い。その中でも一番大きく広い宮が、彼女らの主が住まう場所らしく、
普通なら宗主の住む場所の近くに建てそうなものだが、どちらかといえば一族の直系の者たちが住む場所に近いようだ。
中庭は整えられており、薄赤く色づいた美しい牡丹の花が咲いている。
装飾の施された繊細な模様が描かれた薄い扉の前で、宮女たちの足が止まった。
「お客様をお連れ致しました」
案内してくれた宮女のひとりが、垂れ下がった御簾の前で声をかける。天井から下がっているその御簾の奥に、ここの主が座しているのがわかる。
顔は良く見えないが、纏っている装飾から位の高い者であることだけは確かであった。
「お初にお目にかかります。私はこの
言って、
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