1-18 もう、迷わない
それは見た目に反して少しの熱もなく、
「
その言葉を最後に、
(
そう言えば、
(
「
「そうでしょう? だから、嫌われたくないでしょ。お願いだから、最後まで気を抜かずに頑張ってね、」
ふたりの会話を
(······
これが、四神の契約。あの中で一体何が起こっているのか。
(疑っていたわけではないが、本当に、君は、
そんなひとに、婚姻を申し込んだ自分は馬鹿なのかもしれない。
はじめから、無理なことも知っていた。それでもここにいる間くらいは、傍にいて欲しいと思ってしまったのだ。子供の我が儘だと笑われるだろうが、それでも。
(奴らの好きにはさせない。この地は、
******
炎に包まれた後、
目の前には、
長い髪の毛は背中に垂らしたままで、その左右のひと房ずつを赤い髪紐で編み込んでひとつに纏め、後ろで軽く結っている。
白い神子装束を纏った少年は、
白虎の契約の時は、始まりの
ここは、記憶が集約された場所。
「今、君は何回目の契約かな? 順番はあんまり考えていなかったら、私たちが残している記憶に戸惑っていないと良いんだけれど。でもね、
相変わらず一方的な会話で、それは本人が言っているように、あくまでこれが記憶の残像であることがわかる。こちらからの質問には何ひとつ答えてはもらえない。
「君は私が経験していないことを、経験しなくちゃならないかもしれない。始まりの
それが、けして楽な道のりではないことを。
記憶を持ったまま、魂の輪廻を繰り返す
「
だけど、と
「君がそれを苦と思うなら、止めたらいいって思うよ。だって、みんな、君のことを好きだったでしょう? そんな君が、幸せになれない未来なんて、誰も望まないよ」
「········え、」
そう言えば
『応えなくともいい』
と、言った。あれは、今思えば、自分が
『君が、応えたくなかったら応えなければいい。応えようと思ったなったらば、応えればいい』
そう言って、自分の意思で決めていいと言ってくれたのだ。後で聞いた話だが、
「大丈夫。俺は、
届くはずのない言葉だと知っていたけれど、
もう、迷わない。
真っ白なセカイは、眩しい光に覆われ、このセカイを壊していく。耳元で聞こえてきた声に、眼を細める。
「うん、ありがとう」
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