1-17 無明のお願い
そして、ほぼ同時に堂の扉が開かれる。
「あ、
駆け出そうとした
そして
「俺の記憶が正しければ、
あ、と
「なんで特級の鬼がここにいる? そもそもどこから入った?」
「あー······ええっと、」
「それって重要なこと? 俺は宗主でも
「あのね、
「君の、なに?」
少し怖い顔で見下ろしてくる
そして、
「俺の、大切なひとだよ!」
ぎゅっと目を瞑って大きな声で言い放った。
「へー。大切なひと、なんだ」
そのやりとりに、
「くく······ははっ······
思い出したらますますおかしくなって、
「ああ、ええと、違うよ! 違わないけど! そういう意味じゃなくて、そう意味だけど! ちょっと、
はー······と息を取り戻して、
「俺は確かに、あんたたちが勝手に付けた等級では特級の鬼、通り名は
生白い肌をしているが、絵に描いたかのような美しい青年の姿をしている目の前の鬼は、含みがあるが嫌みのない軽い口調で言葉を紡ぐ。
腰くらいまでの細くて長い髪を後ろで三つ編みしていて、先の方を赤い髪紐で蝶々結びをしている。
右が藍色、左が漆黒と、半々になっている衣を纏っており、左耳に下がった銀の細長い飾りが、動くとシャランと独特な音を奏でる。
その涼し気な金眼がこちらに向けられた。
「俺の名は
「そう! だから、俺の大切なひと、なんだ!」
へへっと
そんな中、扉の奥からゆっくりと姿を現したのは、この
「
「初めまして、
「わー! いいからっ! そういうの、慣れてないんだってばっ」
慌てて
だが、そこにもし本当に朱雀がいるのだとしたら?
空想ではなくて、本当に、存在しているのだとしたら。
「
この
「あ、あのね、契約の前にお願いがあるんだ!」
「お願い?
ぐるぐると思考を混乱させている内に、とうとう
「俺以外にも、あなたの姿を見えるようにできる?」
「······そこの者に見えるように、ということだろうか? まあ、見たところ
「ホント! ありがとう! 良かったね、
言って、
腕を前で囲い、深く頭を下げ、その神と名の付く存在から眼を逸らす。
「まあそう固くならなくても良い。私はどこかの根暗な誰かと違って、人間は嫌いではないし、むしろ好きな方だ」
立ち上がって、
「そうなんだ!
「······君って、どんな心臓をしているんだ?」
「え? 心臓がどう? うん?」
そして、ようやくここに来た目的、四神、朱雀との契約が始まる。
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