1-15 ずっと見てきました
翌朝。
珊瑚宮に宗主である
端正な顔立ちに、最初に会った時とはまったく別物の優しい笑みを浮かべ、
「では、行こうか」
言って、
いつもと違う赤と黒が並ぶとなんだか不思議な感じだが、
そのまま珊瑚宮から出て行ったふたりを、
「
「そうならないように、どうやって断るかを考えてるところだ」
「でもどうやって断るんですか? 普通なら無理じゃないですか。だって相手は宗主様ですよ?
所謂、玉の輿というやつだ。
「あ、でも、
「······頭を冷やしてくる」
(もうこれを機に、
頬杖を付き、紫苑色の眼を細める。相変わらず頭の上できっちりと髪をまとめ、銀色の飾りで解けないようにとめている
(······だよな。言ったところで、本気で信じてくれる者なんて、ほとんどいないだろう。だから、俺たちが必要なんだ)
そ、と置かれた湯呑に、
「そうですよね、
「なあ、
その質問に、
「どこまで、と言われても」
最初は、気のせいかとも思った。
そして、昨夜、ふたりで外から戻って来た時の、表情。
「ずっと、傍で
だから、
しかし、
「
それが、今までの罪滅ぼしになるとは思わないが、それは心から思う言葉だった。
「······ありがとう、」
「はい、どういたしまして!」
穏やかな笑みを浮かべ、
ふたりはここまでの旅路を振り返りながら、和やかに会話を弾ませる。
(きっと、こうやって、あいつの周りには信頼できる人間が増えていくんだろうな)
だから、心配は無用だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます