1-8 揺らいだ決意
「そうか、あの奉納祭の後に、そんなことがあったのか」
「俺、
言って、
それは心強いね、と
「伯父上はここで行われる鳳凰の儀について、詳しく知ってるんですよね?」
「ああ、他の一族の者たちよりは知っているつもりだよ。何度か立ち会ったこともあるからね」
どんな儀式なんです?と
「ほら、あそこに大きな舞台が見えるだろう?」
「舞自体はだいたい
「······問題? とは、」
「いずれ、解ることだろうから教えておくけど、鳳凰の儀は、表向きはこの地を守護する朱雀に舞を捧げる儀式だが、本来の目的はまったく違うもの」
「どういう、意味ですか?」
その言い回しに、
「この二年に一度行われる儀式は、
「それって、朱雀の
「憶えているかい? 消えた
「それって······でも、なんであの場で、宗主たちはその事を教えてくれなかったんですか? 例えそれがわかっていても、たぶんあいつは引き受けていたかもしれないけど······それでも、知っているのと知らないのでは、対処の仕方が違うはずなのに」
「それは私もわからない。部外者である私が、口を挟むことでもないしね」
それはそうですが、と
それを伝えなかったことになにか理由があるのだとしたら、また
「まあ、私が君たちに話すことを前提として、あえてあのように説明した可能性もあるね。わざと不信感を与えて、何の意味があるかはわからないけれど。
もちろん、転生の事は自分たち以外は知らない事であるため、あの場で発言することができなかったのだ。
宗主は、試したのだろうか?
どんなに信頼しているひとだとしても、それに関して
「伯父上、ありがとうございました。俺、そろそろ戻ります」
一礼して、
「
「え、はい。なんですか、急に?」
目を細めて、意味あり気に見下ろしてくる
「この地での用が終わったら、
それは、思ってもみない提案で、
「私もまあまあ歳だからね。そろそろ後継者を、と思っているんだ。各地を回り、他の一族たちの問題の解決に尽力する。時には危険もあるだろう。自分の力が及ばないこともある。けれども、やりがいのある役目だ。すぐに答えを出さなくてもいい。この地を離れる前まででいいから、考えてみて欲しい」
白獅子として、この地を巡る
「······考えてみます」
もう一度頭を下げ、
夕焼け空が眩しく、思わず目を細めた。
(俺は、
自分だけでは決められない、と首を振り、
暁色の空がやけに色濃く、夏には相応しくない気がした。
まるで、なにかを示唆しているような、そんな空の色に、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます