廃病院よりこんばんは~ある夜の肝試し~
kuro
夜
ある
「よお、隣良いか?」
「別に、誰も
友達の
だが、どうやら、そんな視線も通じないようだ。にやにやと笑みを俺に向けて俺の視線を軽く
本当に、何で俺はこいつと友達になったんだったけ?そもそも、何時からこいつと友達になったんだっけ?気付いたら
「そうだ、今夜近所で
「いきなり何だよ?
「まあ良いじゃねえか。夏と言えば肝試し、肝試しと言えば
だから、脈絡が無さすぎるって。しかも、何だその
とはいえ、まあ別に良いけどさ。俺も別に断る
「まあ、別に
「ん、あいつ?」
「いや、俺の
「ん~……OK、
そう言って、俺と友達は肝試しの
……そして、昼食を終えてクラスに戻った後。彼女に肝試しの話をする。
「肝試し?」
「ああ、今夜俺と友達とお前の三人で肝試しをしようと思うんだが。良いか?」
「やるやる!むしろ
何ともきらっきらした目で。本当、肝試しの雰囲気ぶち
そう思い、今日の授業を
だから、教師には決してバレないよう俺達は立ち
・・・ ・・・ ・・・
そして、夜。俺は家をこっそり
だが、そんな状況下でも彼女はハイテンション。そして、廃病院で
「じゃあ、
「おーっ‼」
「お、おぅっ……」
三者三様。俺達は全く
……病院内は、とても暗い。暗い院内を、懐中電灯で
俺は終始周りを
ありはしないのだが、何故か俺はさっきから
「えっと、何かおかしくないか?」
「え、何が?」
「いや、別に
俺は変わらず、周囲を警戒し続ける。瞬間、俺の背後から何かささやくような声が聞こえてきた。気のせいかと思ったが、どうもさっきから変な気配が
再び、ささやくような声が聞こえた。こんばんは……と。くすくすと、
「なあ、
「ん、何が?」
「いや、ささやくような声でこんばんはって……」
「……?知らないよ?」
「……じゃあ、お前か?」
そう言い、俺はさっきから一言もしゃべらない友達の方を見た。其処には、誰も居なかった。そう、此処には俺と彼女の二人しか居なかった。
「う……っ」
『ばぁっ』
「うわああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ‼‼‼」
いきなり
だが、この廃病院でこの姿はマッチしているようでおかしい。そう、きっとこいつは生きている人間じゃないんだろう。
そう思った直後、彼女が
「ねえ、貴方はこの廃病院の
「ちょっ⁉」
『ああ、そうだぜ?ひゅーどろどろってね』
「ぅええっ‼」
彼女が物怖じしない様子で聞くのを
そんな俺を見て、幽霊少年はけらけらと笑う。一体何が面白いのか?
『こいつ、面白いな。からかいがいがあるぞ?』
「そうでしょそうでしょ。私の自慢の
「お、お前等……」
しかし、彼女と幽霊少年に
『ほら、もっとぎゅっと
「おい、止めろ!」
「んーっ……」
「お前も
もうイヤ、こんな空間俺は
本当、もっとこう。なあ?肝試しってこんなじゃないだろう?
「一体何なんだよ、お前。どうして幽霊がこんな
『なんだなんだ?俺のキャラに
「いや、別にそうじゃないけどさ……」
『まあ、理由はあるけどな?』
「あるのかよ……」
何で幽霊がこんなノリノリなのさ?
・・・ ・・・ ・・・
話は数年前にさかのぼる。少年は割と
辛い事はあった。少年は肺を
そんなある日、少年はこの病院に
それだけではない。病院の
少年は、死亡した。典型的な
何故なら、空気が淀み重苦しかった理由を知ったからだ。
病院内には、
しかし、それにしてもこの数の怨念は
どうやらこの病院、方々から少なくない人を
院長を好きになれない理由はこれだったのだ。あの笑顔に隠された狂気とは、きっとこの事だったのだろう。そう、幽霊少年は
理解して、決意した。この病院は即刻潰そうと。そして、この怨念達を何時までも何時までも
その後日、病院内に居る全ての怨念を率いて幽霊少年は院長を
・・・ ・・・ ・・・
『そうして、今に至るという訳だぜ』
「いや、ギャップがすげえな。さっきの話の暗い
けらけらと笑いながら、そうあっさりと話す幽霊少年。本当、さっきまでの暗いノリは一体何処へ行ったのやら?
そう思ったが、まあそうだな。こいつにもそんな暗い
『ん?』
「また来るよ。今度は、肝試しとかではなく
『っ⁉い、いやまあ二度と
まあ、確かに。此処は
なので、最後に俺はこれだけは言う事にした。
「じゃあな、また
「じゃあね、バイバイ!」
彼女も俺に合わせて幽霊少年に手を振る。幽霊少年は
『お、おう。じゃあな』
そうして、俺と彼女は適当に病院内を
「ねえ、ちょっと
「ん、何だ?」
見ると、彼女が僅かに
「君の
「……………………」
「それに、
「……………………」
そう言えばそうだった。俺に、あんな友達は
だとすると……?
廃病院よりこんばんは~ある夜の肝試し~ kuro @kuro091196
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