第8話 争いが再び起きる
そういえば、この島に来てどのくらい経つのだろう?救助にくる気配なんてないし、体は無駄な物を食べないから体型は細くなった。髪の毛やヒゲもずいぶん伸びてきた。刃物がないので、髪の毛は、ツルを使って一つに束ねヒゲもツルでまとめた。
「お、むさ苦しいな。火の精霊に焼いてもらったらどうだ?」
「髪の毛燃やすと、すごい匂いするじゃん」
「確かにな~臭ぇよ。ただな、火の精霊って加減がうまいから、クルクルって巻いた頭になんぞ」
そういうとシィさんが地面に書いて説明をした。
「・・・ゆるいパーマじゃなくて、キツめのパンチパーマだよ、それ。焦がしてんじゃねぇ?」
「あんたらの偶像崇拝している物体にこんな頭あんだろ?」
「
「猿たちに巻いてもらいなよ」
「やだよ、握力すごいんだよ。ねじ切れてしまう」
シィさんと雑談していると、猿たちが急に警戒し始めた。
「何人か、原住民が走って向かってきてる」
猿たちを刺激したくないので、ワタシが応対することにした。
「あ、言葉分からないや・・・」
そもそも原住民も会話を待してないようで、なんか大変なことが起きてるから
一緒に来て欲しい感じだけが伝わった。
「行く必要あんのか?」
「そうは言うけどシィさんよ、あの音と煙の状況見たら行かなきゃいけないと思うよ」
集落に近づくと、木々が燃える匂いがだんだん濃くなっていく。
大きな木に隠れつつ覗いてみると、武装集団に集落が襲われていた。
「そりゃ、アンタらが武装集団の船を襲ったから、復讐されても当然だろう?」
言葉は通じないが、言ってみた。身振り手振りで原住民が訴えている。
「風起こして、アイツらを退けろ?何人いるか分からないのに?」
原住民は、ワタシの手を引っ張られ、背中を突き飛ばす者もいた。なので、豪快に転んで武装集団にバレた。
「何だお前は?原住民とは違うようだな」
銃口を向けられ、立ち上がるように促される。
「以前、誘拐しただろ?覚えてないのか」
もちろん、武装集団とも言語が違うので通じるわけがない。なので、頭の後ろに手を組み、攻撃意思がないことを示した。
しかし、ワタシを連れてきた原住民が石を投げて武装集団に抵抗した。原住民に向かってマシンガンを構えるその姿を見て、ワタシは咄嗟に両腕を突き出した。ブワッと突風が兵士を吹き飛ばし、木にぶつかり倒れた。
その光景は見られており、複数の銃でワタシは攻撃を受けた。原住民はワタシを不死身と思っていたようだが出血量が多く、体が動かせない状態となった。
シの精霊は言う。
「余計なことするからだよ」
風の精霊が言う。
「でも、このままだと島ヤバイでしょ」
火の精霊も言う。
「ん~、やりすぎというか、やられすぎというか」
長い時が過ぎて形成されたこの島の自然が、あっさりと終わってしまう始まりを見ている精霊たちが話し始めた。
シの精霊がこんなことを言った。
「このままだと、我々も存在が危うくなるので、どちらかがこのヒトの体を使って対処できないかね?」
風の精霊は答える。
「一つの精霊が対応してても時間足りないだろう」
火の精霊は提案をした。
「まとめて入っちゃおうか」
ぐったりとしているワタシを見下ろしている精霊たち。右の鼻へ風の精霊、左の鼻へ火の精霊、口からシの精霊が同時に入り込んだ。ワタシの体が激しく跳ね、周囲からは痙攣なのか判断できないので銃口を向け警戒している。何度か跳ねた体はブワッと風を吹き下ろし宙に浮いた。次の瞬間、全身を風と炎が渦巻いて、周囲に熱風が吹き荒れている。
「バケモノめ!」
一斉に発砲するが、突風により標準が定まらない。うろたえている集団に向かって、ワタシの体が横回転して火炎放射と火の玉による攻撃をしている。同時に風により飛ぶように移動し、次々に兵士たちの体を炎が包んでいった。
次に向かったのが海岸。波打ち際に複数の小型の船と沖の方に大型船があった。どれが武装集団のものか分からなかったので、火の精霊はすべて燃やすことにした。
大型船までは距離があったため、ワタシの両腕を曲げ伸ばすことを繰り返し、多数の火の玉を飛ばし続けた。一つ着弾したので、その角度でしばらく攻撃し続けた。
やがて、大型船は弾薬に火がまわったようで、大爆発し海に沈んでいく。
ワタシの体は、また浮き上がり、原住民の集落まで移動する。武装集団の侵略と兵士を燃やしたことで森林火災が広がっていた。それを確認したので、ワタシの体から炎が消え、風だけが包んでいる。風が皮膚を覆っていたせいか赤くなっているが火傷症状が見当たらない。
シの精霊が言う。
「ここからようやく出番だよ」
ワタシの両手をパンッと合わせ、
右腕を高々と上げ、指でパチンと音を鳴らすと、シトシトと雨が降り出した。
雨を確認すると、ワタシの体は、また崩れ落ちた。
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