チョコorカレーor……

ミンイチ

第1話

 僕の幼馴染はバレンタインデーにチョコっぽいものをくれる。


 これを知った人の中には、僕のことを恨む人がいるかもしれないが、上の文をよく読んでほしい。


 彼女がくれるものはチョコレートではない。


 あくまでチョコレートものだ。


 最初に彼女がくれたのは、よくチョコと似てるとネタにされているカレーのルーだ。


 小学校の6年生の時のバレンタインデーに机の中に入っていたものを見つけ、とても嬉しくなったのだが、開けてみるとカレーの美味しい匂いが漂ってきた。


 あの時の恥ずかしさは忘れない。


 その翌年──つまり中学1年生の時にも机の中に袋が入っていた。


 匂いを確認しても、カレーのようなスパイシーなものはなく、少しだけ甘い匂いが漂ってきた。


 皆に隠れてその袋を開けると、中にはちょっと紫っぽい柔らかなおやつ、羊羹が入っていた。


 甘くはあったが、あの粘り気のある甘味は少し苦手だ。


 時は流れ、今は高校3年生のバレンタインデーだ。


 これまでにチョコレートをくれたことはなく、去年はかりんとうが机の中の袋に入っていた。


 今年は何が入っているかを考えながら机の中を見ると、やはり袋が入っていた。


 しかし、袋にはいつものような膨らみはない。


 その代わり、降ると金属音が聞こえてくる。


 恐る恐る中をのぞいてみると、一枚の紙と小銭が100円と少し入っていた。


 紙は袋になっていて、「表」「裏」とそれぞれの面に書いてあった。


 僕はまず中にあった紙を取り出し、表の方を見た。


「ネタが尽きた このお金で好きなおやつ買って」


 あまりの驚きに僕は少し呆然としたが、裏があったのを思い出してすぐに紙を裏返した。


「はよ告白しにこいよ いつまで待たせるんやボケ」


 僕はチョコレートを貰って安心してから告白しようと考えていたが、それは浅はかな考えだったようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

チョコorカレーor…… ミンイチ @DoTK

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説