第21話 ガラスの靴!

驚いた声の後は、周りが静寂に包まれる。


俺はどうにか凍る事は無いし、冒険者ギルマスの氷も取ってあげた。


「やったわね、やはり考えた通りの事となったわ、やはり彼は何かが違うわね。ならそこに居る彼女達にも期待しましょう」


商業ギルマスの喜びの反対側で、俺達に魔法を撃った領主さんがワナワナ震えている。


「馬鹿な、私の魔法を無くすなんてありえない!」

「妻の魔法が消えた、何故だ?」

夫婦揃って驚いて居る。


「お母様の魔法を破るなんて、なんて事をするの旦那様」

「本当に、凄い魔法が消えるなんて」

今度は二人の娘が驚いた表情で俺を見ている。


「ねえさだ、大丈夫かよ、あのおばさん肩が震えているぞ」

「本当です先輩、何か有りそうですね」

お前それは言ってはいけない約束だぞ、特に俺を振った後輩。


「コイツは、絶対に殺してやる、私の魔法が破られるなんて絶対に無い!」

おお本人の周りから、凍って言っているぞ何かやばいな。


「お母様お母様、正気になって、街を凍らせてはいけません」

スージーは領主に声をかけている。

「そうだぞお前は冷静になれ、街が凍るぞ」

旦那も領主を止める。


素早く逃げていた商業ギルマスが、また俺の側にくる。

「ほらまたリュックを回しなさい、ボヤボヤしていると凍りますよ」

いやこれは無理でしょう、他にどうにかなりません。


「仕方ない、なら昨日の綺麗な物を出しなさい、他にも有るでしょう」

他他って、何かあったか、・・・あったぞー、俺は箱から商品を取り出す。

手元にはガラスの靴でサイズフリー。買った時は思ったほど小さいし履けないけど、此処はパラレルワールドだしね、きっと履けると思う。


俺はスージーの母親領主さんの前に、ガラスの靴が見える様に歩み寄る。

「なんだその物は!」

魔法が止まる。


「失礼してお足をお借りしますね」

俺は、彼女の右足の靴を脱がしてガラスの靴を履かせる。

流石パラレルワールド、サイズがピッタリと合う。続けて左足にも履かせてみる。


「これはもしかして、何処かの国宝か!」

恐らくはクリスタルガラス、ただ重いんだよな強度はあるけどね。

歩けないと思うが、一応は手を添えてみる。


重いが、どうやら歩けるみたいだ。

「硬いし重いので、長時間は歩かないで下さい、足を怪我しますからね」

「あゝ確かに重いが、これは世界に一つだけ妾の足に合う物だろう」

「まあそうなりますね、ただこれは飾りで眺める物です、後は何処かに飾って下さい」


そして冒険者ギルマスが近くに寄ってくる。

「ではギルマス、奥様をお渡しします」

俺の腕から冒険者ギルマスの腕に、領主さんの手が乗って一件落着。


そして皆んなの元に戻ると、睨む者、苦笑いの者、複雑な顔の奴らがいる。


「どうしました皆さん、無事解決して来ました!」

スージーとクリステーヌは睨んでるし、商業ギルマスは苦笑いしてるし、アイツらはアイツらだしね。


「ケイジずるい、あんな良い物をお母様に送って私のは無いの!」

「そうよ、妻にくれないで、よそのお母様にあげるなんて」

「ちょっとクリスティーヌ、私のお母様よ!他人では無いわよ」

二人の言い争いが続く。そして苦笑いの商業ギルマスも言ってくる。


「全く、金貨何万枚の損よ、もう少し大人しい物は無かったの!

まあこの街が氷漬けよりは良いわよ、私にも残っていたら下さいね」


そしてアイツらは。

「さだなにをやっているんだ」

「先輩、さっきから妻って言っている、日本語の堪能な外国人がいますけど、お知り合いですか?」

「本当に此処は何処なんだ?」

「本当の真実は夢の中で、起きれば病院のベットの上かよ」


まあまあとりあえずは解決したから、お前達四人に聞きたい事がある!








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