第11話 領主貴族と宮廷貴族
「貴族と言っても、色々と分けられます」
ユクピテ卿が貴族の分類について説明を始める。俺が知りたかった例外については、大きくなってから説明すると言われてしまった。
まぁ、魔法を学ぶことに直接繋がる訳では無いと言われてしまったので、モヤモヤしつつも自分を納得させたが……。
何故、貴族の分類の説明が始まったかと言われれば、それぞれの貴族によって魔法を学び始める年齢が異なるからだそうだ。
本来なら、貴族の成り立ちや歴史を説明したいそうだが、流石に3歳の俺に説明するのは早いとのことである。
まぁ、大人の精神を有する俺は理解することが出来るだろうが、それはそれで問題になりそうなので、大人しくユクピテ卿の説明を聞くことにした。
「貴族は大まかに、【領主貴族】、【宮廷貴族】【魔法貴族】に分けられます」
ユクピテ卿の説明では、貴族は大まかに3種類に分類されるらしい。本当はもっと細分化される様だが、3歳の俺に説明するため、その認識で良いそうだ。
「まずは領主貴族ですが、最も古くから続いている貴族にございます。領主貴族には御当主様と次期当主となられる若様が当て嵌まります」
領主貴族は、貴族の歴史で最も古く定義された貴族だそうだ。と言うより、元々は領主貴族しかいなかったらしい。貴族が増えたことで分類が細分化された様だ。
領主貴族はその名の通り、土地や領民を支配する貴族で、君主に対して軍役で奉仕することが義務付けられている。領主貴族は領地に対して絶大な権限を有しており、一部の貴族たちに対しては、君主とてその権限を侵犯するのが難しいそうだ。
各国によって制度は異なるものの、君主は領主貴族の連合体の盟主的な位置付けの国が多いらしい。
俺が住んでいる国は、クァ・スタナブヘル王国と言うそうだが、御多分に漏れず貴族連合国家と言える国なのだと、ユクピテ卿が教えてくれた。
クァ・スタナブヘル王国では、半独立的な権限を有する上級の領主貴族と中・下級の領主貴族に分かれているとのこと。上級の領主貴族たちは諸侯と呼ばれ、連合されると国王を凌駕する勢力となってしまうそうだ。そのため、国王は諸侯たちの機嫌を取らざるを得ないらしい。
そして、貴族が分類された現在では、領主貴族に該当するのは、当主と跡継ぎである世子のみを指すとのことであった。そのため、クヴァファルーク領では父と俺だけが領主貴族として扱われることとなる。
「最も多い貴族は、宮廷貴族にございます。王家や領主貴族に仕える貴族が該当します。領主貴族の分家なども含まれます」
この世界で最も多くを占める貴族が、宮廷貴族だとユクピテ卿は言う。領地を有していない貴族は基本的に宮廷貴族として扱われている。大まかには武官と文官に分けられるそうだが、実際には様々な役職がある様なので、大体のイメージとして捉えておけば良いとのこと。
宮廷貴族は基本的に、君主家や領主貴族の家の宮廷に仕えている。その他の場合もある様だが、今は知らなくて問題は無いそうだ。
ユクピテ卿の様な領主貴族の分家筋も本宗家に仕えていることから、宮廷貴族に該当する。領主貴族の分家筋は、そのまま本宗家に仕えるか、君主家に仕えるのが一般的だそうだ。
父にも兄弟がいるそうだが、クヴァファルーク家は分家がそれなりにいるそうなので、叔父たちは王家に仕えているらしい。
君主家の分家は宮廷貴族では無いのかと言われると、大抵は領地を与えられて、領主貴族になるそうだ。極稀に領地を与えられない王族もいるんだとか。
因みに、貴族の名前と家名の間にある「ザス」と「ツェル」は貴族階級の人物に付くらしく、男性が「ザス」で女性は「ツェル」だそうだ。
チャルカンで騎士身分だと男性は「チャカ」、女性は「ルン」が名前と家名の間に入るらしい。
「魔法を学び始める時期ですが、領主貴族や宮廷貴族は概ね7歳〜10歳の間に始めることが多いです。例外もありますが」
領主貴族や宮廷貴族と言った大半の貴族は、7歳〜10歳の間に魔法の教育が始まるなんて……。あと4年ぐらい待たなければならないと知り、軽く絶望した……。
しかし、例外もあると言うことは、それよりも早く魔法を学ぶことも出来るのでは無いだろうか?
俺は、ユクピテ卿が次に発する言葉に期待をせざるを得なかったのであった。
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