1月31日 終焉が欲しいですね

 さて、1月31日になりました。


 朝、コインチェックを見てみると、動きがありました。

 私が行った送金操作が、コインチェック側からキャンセルされていたのです。


 そしてコインチェックから、操作をキャンセルした旨の通知メールが来ていました。

 そこにはキャンセルの理由が書かれています。


「本人の意思による送金であることが確認できなかったため」とのこと。


 私の頭の中に「?」が浮かびます。なんかおかしい。


 コインチェックには私の個人情報をこれでもかというくらいに登録しています。そして送金操作時には、二段階認証も行っています。


 本人がやってる決まってるじゃないか・・・


 なのになぜ? です。


 実はこの日、私は朝の早めの時間から外出をしていました。

 この日は休日だったのですが、私は毎年この時期、牡蠣を食べに少し遠出をします。車で二時間ほどのところ。ちょうどその日だったのです。


 相手には「外出する。夕方には戻る」と伝えたのですが、私はLINEをタブレットで使っていて、wifiにつながっていないと送受信できません。


 結局、夜家に帰るまで相手とはやり取りをしませんでした。


 夕方帰ってきて、相手に「コインチェックから連絡がきたこと」を伝えました。


女:「家につきましたか? 一日中話しかけてくれないなんて、腹が立ちます!」


 らしいです。外出のことを少し詳しく伝えると、「あなたが家に帰ってあなたの奥さんを見ていると思いました」だそうです。


 あ、すみません、一人で行きました(笑)


 仕事休みの日は多くはありません。こういう日は、私はたまっていたやりたいことをひたすらやり続けます。


 相手を放置し、夜までまた自分の用事をしました。


 相手に連絡をしたのが、夜10時ごろ。夜ご飯の話やらなにやらをしたあと、相手が「コインチェックの送金は完了していますか?」と聞いてきました。


私:「カスタマーサポートから、送金のキャンセルの連絡が来ました」


女:「なぜキャンセルされたのですか? その理由を確認するために、スクリーンショットを提供していただけないでしょうか」


 なんか、今まで見たことない言葉遣い。翻訳機を使っているのでしょうか。


私:「本人の意思による送金であることの確認ができなかったから、だそうです。今、許可をするようサポートに申請しました」


 実際、コインチェックからのメールで、キャンセルの連絡と一緒に、本人の意思確認を行うようにといってきていました。

 しかし私はそれを放置していたのです。面倒なので(笑)


 そこで、この時点でサポートに対し、意思確認を行いました。


私:「コインチェックに登録した私のメールアドレスと、エンクライに登録したメールアドレスが違うのですが、それが送金の失敗の原因になっていますか?」


女:「あまり。あなたが新しいユーザーである可能性があるため、追加の確認が必要です」


 へぇ、そんなものか。ここではまだ、そういう感想しか持っていませんでした。


 その後すぐ、もう一度送金手続きをしてみるよう言われます。

 昨日と同じ手順なのに、再び、一々スクショを要求してきます。


 めんどくせぇ!


 私は前日と同じ手順で操作を行い、コインチェックから届いたメールのスクショを相手に送りました。


 私にとって幸いだったのが、コインチェックへの意思確認のメールを送ってすぐこの操作を行ったことでした。

 つまり、この段階ではまだコインチェックによる本人の意思確認が完了していません。(実際にその連絡がきたのは翌日のことでした)


 つまり、ここで操作をしても、送金できないということです。(コインチェック側から、意思確認が終わるまで送金操作ができないと言われていました)


 当然、表示は「手続き中」のまま動きません。

 相手は、「表示が変わるまで待つ」よう言ってきました。


 あー、はいはいという感じです。


 そこで私は、エンクライの画面を開きました。

 と、そこでトラブルが発生したのです。


 サイトにアクセスできません。読み込み中を知らせる「くるくる」が延々と回っています。


 相手にそれを伝えると、ネットワークの遅延かも」という返事。


 私はそのサイトをスマホで見ていたのですが、確認のため、PCでログインすることにしました。


 PCのcromeを起動し、一番上の欄に、エンクライのURLを打ち込みます。そしてEnterキーを押しました・・・


 画面に映ったものが何なのか、私は最初わかりませんでした。いや、わかったのですが、なぜそれが表示させるのかという理由が分かりませんでした。


「このサイトはフィッシング詐欺の可能性があります」


 サイトはフィッシングではありません。私はgmailのメルアドしか登録してないのですから。

(ちなみに、エンクライからgmailへ登録完了のメールが来ていました。一応そういうことはしているようです。本物と見せかけるためでしょう)


 なんで『フィッシング』やねん(笑) ええか、フィッシングというもんはな・・・・


 いや、ちょっと待てよ。


 ここでようやく、本当にようやく、やっと私は、全てに違和感があるが故に、すっぽりと見落としていた『違和感』に気が付きました。


 いや、ほんと、全てが怪しすぎて、そこに意識が向いてませんでした。


 そもそも、このエンクライというサイト、どうやって本人確認してるんだ?


 暗号通貨の取引所のはずです。暗号通貨の取引は、「マネーロンダリング」などに使われる可能性があるため、セキュリティは厳重なはず。

 もしセキュリティがガバガバなら、それは「怪しいサイト」なのです。


 そう、コインチェックに登録したときのあの、厳重すぎるほどの本人確認が、エンクライでは全く行われていません。


 メルアドとパスワードの登録だけ。これでは、他人のメルアドでも登録できてしまいます。実際、私はコインチェックとエンクライでメルアドを変えていました。


 本人への送金というけれども、本人の口座かどうかどうやってわかるのか?



 いや、まったく、ここでやっと気が付くとは、私はずいぶんと間抜けでした。


(ちなみに今試してみたのですが、検索から飛ぶのでは、この『フィッシングかも』という警告は出ませんでした。直接URLを打ち込んで飛ぼうとしたときに出るようです)


 私はあわてて、コインチェックを見てみました。幸いまだ、「手続き中」との文字が出ています。


 私はいったんそれをキャンセルし、通貨がコインチェックのウォレットに戻ったのを確認した後、もう一度、今度はPCのグーグルで「encrynatcoinex」というサイトを検索してみました。


 一番上に、そのサイトが出てきました。


 そして二番目。「encrynatcoinex-詐欺被害ジャパン」というページが。


 そこを押してみます。すると、「詐欺トラブルに関する報告・相談サイトとして、最新情報を共有し、解決に役立てるための無料口コミ投稿情報サイト」へと飛びました――


 そこには「HOLBILTと同様の手口です。」との書き込みが。


 そこで今度は、HOLBILTを検索してみます。

 すると、そこにこんな話が書き込まれていました。



~ 詐欺被害ジャパンからの引用 ~


「twitter で声をかけられたマレーシアの女性と交流を続けるうちに仮想通貨TGGを買うことを勧められました。最初は少額で利益が出て出金もできました。出金もできました

しかし70000ドルを超えて出金しようとすると税金を払わないと出金できない、15000ドル(20%)を24時間以内に払わないとアカウント凍結すると言うカスタマーサービスからの連絡がありました。

15000ドルが無く払っていません。払えたとしてもさらに詐欺に遭うのが怖く、元本1,500,000円を諦める覚悟をしようかと思っていたところです」


~引用終わり~


 なるほど、これは「女が私を詐欺ろうとしている」のではなく、「サイトが私を詐欺ろうとしている」ものだったようです。


 いや、ちょっと待ってよ。

 ということは、相手はそのサイトとグルということ?


 いや、当然そのはずです。


 ということは、この詐欺は「架空の暗号取引サイトを利用した、何かしらの組織が、『掛け子』を使って投資詐欺を行っているということです。


 こんなもん、個人じゃできません。


 うわぁ・・・でした。ほんと。

 マジでやばすぎです。


 つまりこの詐欺は、もちろんサイトへの暗号通貨送金も詐欺なのですが、「サイトに送金してから」が詐欺本番だということです。


 もし私が送金に成功していたとして、その後、よくわからない暗号通貨(きっと架空の暗号通貨でしょう)をかわされ、それの運用であたかも利益が出たように見せかけられ、追加の入金を勧誘されたでしょう。


「もっと儲かる」みたいなものでしょうか。


 そして出金しようとすると、それができなかったり、または法外な手数料を要求されることになる・・・


 さらに最終的には、そのサイトが閉鎖され、お金が返ってこなくなる。



 こういう仕組みのようです。


 私はたまたま、本当にたまたま、コインチェックのセキュリティとグーグルの検索能力に助けられた格好となりました。


 いや、ほんと、バカな火遊びはするもんではないですね。


 さて、相手の手口がある程度わかりました。

 ただ、相手の正体が分からない。


 私はまた選択に迫られました。


 このまま騙された振りをして、相手からいろいろ情報を聞き出し、相手の正体を探るか。

 それとも、さっさと手を切るか。



 結局私は、手を切ることにしました。せっかく、相手に気づかれることなく、詐欺に気づいたんですがねぇ、もったいない?


 理由はこんな感じです。


① タネが分かると一気に面白くなくなった。


 もう、相手とやり取りするのが面倒になっていたんですよ。


② 個人じゃなさそう。


 変なもんが出てくるのは勘弁です。


③ 推しの配信が再開された。


 コロちゃんになってた愛しのマオくんがやっと回復したらしく、配信が再開されるとのことだったので、もう相手に付き合ってる時間が無くなります。


 まあ、こういうわけで、私はもうこの『探偵ごっこ』をここでやめることにしたのです。まあ、私の負けですね。自分では相手の詐欺を見抜けませんでした。


 私はどうやって相手を切るか考えるため、一晩おくことにしました。


 相手に「今日は疲れたので続きは明日にする」と伝え、そこでその日のやり取りを終えました。



※ ここまで読んでいただいてありがとうございました。

  このエッセイも次回が最終回です。相手との最後のやりとり、そして相手の正体の考察を行う予定です。

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