1月30日② 先入観は罪、固定概念は悪

 とりあえず、この後私が何をしたのか。話は簡単、相手の指示に従い、いくつかの操作をしました。


 まず、そのサイト(仮にエンクライと呼ぶことにします)の画面で「入金」を押せとの指示。


 それを押すとQRコードが出てきました。そのQRコードを読み込むと(実際には読み込まなくても、書いてある文字を入力すればよかったのですが)、文字列が出てきました。


 相手曰く、コインチェックからエンクライに暗号通貨を動かすためのアドレスで、その後、エンクライで取引を開始するとのこと。


 コインチェックの方で「送金」操作をするのですが、そこに入力するアドレスが、このQRコードで読み込んだアドレスだったのです。


 コインチェックに入力する必要事項はほかにもありましたが、コインチェックは「送金」時に二段階認証を要求してきます。(このへん、大手取引所はさすがにセキュリティがしっかりしているようです)


 この二段階認証を設定したのですが、これが結構手間取りました。


 なんとかそれをこなし、準備完了。そして「送金」を行いました。


 ・・・


 こう簡単に書くと一瞬ですが、操作が完了するまで何時間もかかりました。もちろん、私に全く知識がなかったので手間取ったのもあるのですが、そのひとつひとつに、相手がスクショを要求してきたのも原因です。


 まあ、呆れるくらいに、懇切丁寧にどうやればいいか説明してくれました。はっきり言って私はもう途中で辟易していました。「早く終われよ」と言ったところです。


 いや、これが駄目だったんですよね・・・


 この時の私の行動は余りにも軽率で、今考えても、なんておバカだったんだと笑うしかありません。全く頭が回っていませんでした。


 一応ね、言い訳をするならば、頭が回らなかった理由がいくつかありました。

 自戒を込めて、思い当たる理由を書いておきたいと思います。


① お金または暗号通貨を『相手』に送るよう言われることを警戒していた。


 いわゆる特殊詐欺は「相手の口座」もしくは「第三者の口座」にお金を送るよう要求されるものだという先入観がありました。まさにこの先入観が、私の目を塞いでいた最大の要因です。


 今回の場合、「自分の作ったアカウントに送金する」という形(実際には違います)だったので、いくつか不思議に思うことがあったにもかかわらず、操作を進めてしまいました。


② 自分のアカウントへの送金だった。


 つまり、そう錯覚していたわけですね。錯覚です。固定観念は悪です。


② 疲れていた。


 まあ、これは言い訳にはならないんですが、仕事をやり、くたくたなところに、スクショを何枚も送らされ、返ってきたもの通りに操作し・・・興味のないことをさせられるのは、なんと疲れるんでしょうか。いやはや、まったく。


 早く終われよ、いつまでさせるんだよ・・・


 まあ、相手は今から詐欺をやろうというんですから、そりゃ親切丁寧になりますよねぇ。


③ コインチェックのセキュリティが想像よりしっかりしていた。


 これはコインチェック側だけのことなのですが、送金操作にはかなり制限があり、操作も複雑です。そこに「安心」してしまいました。エンクライ側には全くそんなものはなかったんですが。


④ 暗号通貨の送金方法がどういうものか全く知らなかった。


 無知とは害ですね、まったく。


 お金の場合、金融機関の口座があり、「機関コード、支店コード、普通か当座か、口座名」という情報があります。


 しかし、暗号通貨はどうやって送るのでしょうか。それを知らなかったのです。いや、今も分かりません。もう送金することはないでしょうし、興味もないので。


 QRコードを読み取った結果表示されたものは、そんな「口座情報」とは全然違うものでした。それが「口座」だとは思えないくらいに。


⑤ お金という意識が薄れていた。


 暗号通貨もいわば「お金」です。でも「数字」になってしまうと、まるで「ソシャゲのポイント」的な感覚になってしまいますね。怖い怖い。


※ 


 いくつか挙げてみましたが、まあ、結局のところ、無知が故のバカさが出てしまった格好です。全く恥ずかしい。


 エッセイを書く上で、この部分があまりにも恥ずかしかったので、少し改変しようとさえ思ったのですが、「実録」ですから、全て正直に書く次第です。


 まあ、そんなこんなで、私は「送金操作」を完了させました。


 相手にそう伝えると、「すぐに結果が出るから、そうなったらまたスクショを送ってくれ」とのことでした。


 ということで、私は送金が完了するまで待つことにしたのです・・・


(つづく)

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