1月29日 すべての準備が整う
朝に、おはようの挨拶と「両親を連れてウェディングスタジオを見に行く」というメッセが届いていました。
あとは朝食のメニュー表の写真。これは台湾のものでした。
なぜウェディングスタジオに行くのかと聞いてみると、両親の結婚記念日だとか。誕生日だの結婚記念日だの、随分とイベント盛りだくさんな一月のようです。
いや、本当ならですがね。
あとは、台湾の屋台の写真。
私がおいしそうだと言うと、臭豆腐の話が返ってきました。食べたことはないですが、聞いた話ではすごく臭いそうです。
そして「日本で地震があったそうだが大丈夫か」というメッセージ。確かにこの日、関東で地震があったようです。
リアルタイムネタもちょくちょく入れてくるあたり、なんでしょう、相手を油断させる方法が確立している気がします。しかし一方で、ちょくちょくミスが見られたんですよね。
個人でやってる詐欺なのか、組織的なものなのか・・・ちょっと判断が今でもついていません。
後は食べ物の話が続きます。今日は暗号通貨の話は無いのかと思っていたところ、夜遅くになって出てきました。
女:「ところで、あなたのコインチェックは実名認証済みですか?」
つまり、「お金を動かせる状態にしたかどうか」の確認です。
私:「はい、しましたよ」
女:「次にお金を稼ぐための他の方法を考えてください。仕事に頼るだけです。では、経済的自由を達成するためにどれくらい働かなければなりませんか?」
なるほど。「今の仕事をしていて、金を稼げるのか?」と聞くことで、「楽して儲けようぜ!」という誘導なのでしょう。
知り合ってまだ二週間。そんな話ふつうはしませんって。
女:「その後、コインチェックに日本円を入金していただければ、仮想通貨投資のキャリアを一緒にスタートできます」
人間というものは、自分に都合よく考えてしまう傾向にあります。まさに詐欺はそこを突いてくるのでしょう。
普通に考えれば、知り合って間もない人が「一緒にお金を稼ごう」と言ってくるわけがありません。そういうのは全部詐欺です。
女:「10万~20万円入金して、利益がすぐに見えるようにすることをお勧めします」
(この手の詐欺にはいくつかの段階があるようです。このエッセイの最後にその辺をまとめたいと思っていますが、とりあえずは考察をあまり交えず、起こったことをありのまま書いていきます)
さて、とうとう具体的なお金の話が出てきました。
私:「今はそこまでのお金の余裕がありません」
女:「では、現在何円用意できますか」
さて、また選択を迫られました。ここで終了するか、まだ先へ行くか。
さすがにもう危険ですが……
ここで私のダメな癖が出てしまいました。
一つ目は、それほどお金に執着心が無いこと。損してもそれは自分が悪かったんだしで終わらせてしまいます。(そのせいで一体どれくらい損してきたことか(笑))
二つ目は……ほら、皆さん、「目の前にボタンがある」ならどうします?
押しますよねぇ。
ここでやめても、何にも面白くないと思ってしまいました。地雷原があるなら突き進む。進めなくなるまで進んでやろうと(笑)
私:「五万くらいでしょうか」
用意できて、かつ、失うと首をくくるまではいかないが、かなり痛い金額。
それを提示してみました。
最悪を想定して動くというのが私の行動指針ですから、この時点でも、全額失う可能性を考えています。
もしこれで、「それでは少ない」といわれれば、切るつもりでした。10万を失うと私は路頭に迷ってしまいますので。
女:「多くはありませんが、あなたの助けになることもあります。ゆっくりと資金を蓄積して、より多くの資金を獲得できるようにします」
私:「はい、そうします」
女:「では、コインチェックを開きます。資金の入金方法を教えます」
いや、ちょっと待てww早すぎwww
いや、もうこの時点で笑うしかなかったです。この時、日本は夜の11時半。台湾(に相手がいるとして)では10時半です。
入金ってどうするの・・・と思ったのですが、結局「入金方法」を私に教えただけで、「明日入金してきてね」ということでした。
<ちなみにこの「入金」は、コインチェックという暗号通貨取引所に作った自分の口座への入金で、これは詐欺ではありません。もちろん、暗号通貨自体の信頼性についてはここでは置いておきます>
じつは、これがこの詐欺の特徴のようなのですが、この「教えます」という行為が、まあ、細かい。
スマホで『コインチェック』のアプリを操作していくのですが、相手がいちいちスクショを要求してきます。私がスクショを送ると、そのスクショに赤い矢印やら丸印を入れて、どう操作すればいいかを教えてくれます。
一つの操作のたびにスクショを要求してくるので、正直疲れました(笑)
他に同じような詐欺にあった人の話がネットに出ていましたが、同じようなことをしてきたようです。
このような行為も「詐欺のマニュアル」に入っているのでしょう。
効果としては、「相手が本当に操作しているのかわかる」「相手が詐欺を疑っているかどうかが分かる」「相手に、親切だと思わせることができる」といったものが考えられます。
さて、一通り手順の指導が終わったところで、私は一つ相手に要求してみました。「もしよかったらあなたの写真を送ってください」
さんざん相手を褒めてきました。写真を要求するのは自然じゃないでしょうか。
相手がどうするか探ってみたのですが、すぐに写真が送られてきました。
以前の写真の背景と同じ、ブランド品が並んだ棚をバックに、バスローブかナイトガウンかを着た女性の姿が写っています。
美肌処理がされているのでしょう、顔はファンでを塗ったようにつるっとした白。ただ胸元にはネックレスがかけられています。
ネックレスして寝るんかよ、って感じなのですが、まあ、それはおいておきましょう。
用意されていた写真を予定に従って送ってきているなら、ここで相手が困るのではと思ったのですが、写真が何枚も用意されているのか、実際にその時撮ったものなのか、ちょっとわかりません。
そこで、その日が終わりました。
ということで、とうとう次回、怒涛の1月30日になります。
『彼女』との関係が切れるまで、あと3日――
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