【詐欺・実録】アヤシイ垢に付き合ってみたら、ガチのヤバタニエンだった件

１月２４日① たかこ坑って知ってる？

　暗号通貨――なにやらアヤシいワードが出てきました。

　後で分かったのですが、最初に相手は『幣安』の仕事をしていると言ってたのですが、それが『暗号通貨投資』のことだったみたいです。

　ただ、趣味の話はそこでお終い。相手が「友人とプールに行く」ということで、やり取りは夕方へと移ります。

　ちょうどこの日、日本には寒波がやってきていました。ほんと、寒かった。

　なので、その話をメッセします。

私：「日本は今日、とても寒いです」

女：「寒いでしょう。たくさん着て、暖かくしてください。寒がりの方は台湾に来てもいいですよ」

　もちろん日本よりも南にある台湾は暖かいでしょう。相手が台湾にいればの話ですが。

　この辺、私は相手への疑念を確定しきれずにいました。中国にいるなら、きっと寒いはずです。

　オーストラリアは今頃雪で真っ白――などと噓を言い、すぐにばれてしまった若いジオン兵のようなミスは、してくれないようです。

私：「台湾は暖かそうですね。台湾で小籠包を食べたいです。プールはどうでしたか」

女：「台湾に来る机会があったら、百年老舗、豆花、小籠包をお連れします。久しぶりに泳いだので、筋肉の損傷がありました」

　また出てきました。

　『机』

　でももうこれは一旦置いておくことにしました。

私：「運動不足ですね(笑)　ゆっくり休んでください。いつか台湾に行ってみたいです。台湾には温泉もあるのですか？」

　私は中国に旅行したことはありますが、台湾に行ったことはありません。

　台湾には温泉がいくつもあるそうなので、その話を振ってみました。

女：「でも私は毎日ヨガをやっています。温泉があります。私がいつもゴルフをしている、たかこ坑というところです。」

　具体的な地名が出てきました。すぐに「たかこ坑」を調べましたが、確かに「貴子坑」というところがありました。

　へぇ

　そう思ったのですが、私も仕事があります。これは夕方のやり取りだったのですが、そこで私は一旦仕事に戻りました。

　さて――仕事が終わった後、ＬＩＮＥを見ると、再びメッセージが来ていました。しかも写真です。

　次はなんじゃろな？

　首をひねりながらも、とりあえず開いてみます。すると、真っ赤なガウンのような服が、広げた状態で写っています。

女：「きれいですか？」

　よーく見てみると、インナー付きのナイトガウンのよう。

　だから、何？

私：「真っ赤な服ですね。何の服ですか？色鮮やかできれいです」

　実際、本当にまっかっかで、これを着るシチュエーションが全く想像つきません。

私：「雪が降りました。今日は本当に寒いです」

　続けて二つ目のメッセージを送ります。するとすぐに返事が。

女：「ありがとうございます。アネサの話では、日本のいろんなところで雪が降ったそうです。台湾は今日９－１２度です。いつもは２０度くらいです。地面が滑りやすいですから、運転に気を付けてください」

　なんでしょう、これまでのＬＩＮＥは、怪しいメッセといたってまともなメッセが混在しているように思えました。

　アネサというのは、義理のお姉さんのことらしく、アメリカに住んでいる兄と日本に住んでいる兄がいるそうで。

　このメッセージは、かなり「それっぽいもの」でした。

私：「台湾でも今日は寒いのですね」

女：「ええ、ふだんは綿入れを着ないのですが、今日は綿入れを着て出かけます。どのくらいで家に着くことができますか。外が寒いから手をポケットに入れて凍らないようにします。」

　時々、相手が話す内容が、相手のことなのか私のことなのか分かりづらい。このへん、主語をバンバン省略する日本語になれていないと、語尾がおかしくなるようです――

　その時はそう思ってました。あとで、そうじゃないことが分かるんですが。

　私のメッセージもかなり固い日本語になっていますが、相手が分かりやすいように、わざと固い日本語を使っていたからです。

私：「もう家に帰っていますよ。私も完全に防寒しています。あの赤い服は、どういう用途の服ですか？」

女：「パジャマ、おめでたいでしょう」

　……もう、なんか、いろいろワケワカメです。

　真っ赤なパジャマを着て寝るんかい！というのもありますが、脈絡もなくいきなりパジャマの写真を相手に送って、何がしたいねん(; ･`д･´)

私：「パジャマ？　おめでたい色です。あなたにとても似合いそうです」

　……ほら、私は紳士ですから、「そんな色着てベッドに入っても、目が痛くて寝れねーだろｗｗ」なんてメッセは送りません(^ω^)

女：「写真と交換して共有します」

　……誰が？　何を？

　とりあえず５Ｗ１Ｈを揃えてください。

　意味が分からず、頭の中で『？』が飛び交っていたところ、再びメッセが。

　どうも写真が送られてきたようです。

　それを開いてみたところ……

（つづく）