1月23日 一文字の疑念

 朝、LINEにメッセが。


女:「おはようございます。あけましておめでとうございます」


 春節、つまり旧正月なので、台湾では(あくまで向こうが台湾だと言っているだけで、実際はどこにいるのかわかりません)この日がお正月なのでしょう。


 私も挨拶を返すと、「日本の正月はどういうものか」と聞かれました。

 しばらく、お互いの国のお正月についてのやり取り。


 お餅の話になり、餅料理の話、そして私は、「日本に来るなら、いちご大福を食べるといいですよ」と返しました。


女:「紹介してくれてありがとうございます。20日に日本に着きますので、机会があればぜひコーヒーをお飲みください」(原文ママ)


 ん?


 ここで私は心に引っかかるものができました。


 あ、いや、日本語としておかしいっていうのではないです。きっと相手は「機会があれば一緒にコーヒーを飲みましょう」と言いたかったのでしょう。


 そこじゃない、そこじゃないんです。

 皆さん、お気づきになったでしょうか。


『机』


 相手はこの漢字を『機会』の『機』の代わりに使いました。

 台湾では繁体字が使われているので、ちゃんと『機』を使います。


『機』を『机』と書くのは、そう、簡体字。つまり中華人民共和国の人です。


 このことを指摘するか、私は悩みました。この一文字だけで、相手が台湾人を騙る中国人と言い切るには、少し根拠が薄いように感じたからです。


 メッセージはそのあと連続で送られてきていました。


女:「写真、かっこいいですね」


 しってた(^ω^)


 そこから、お互いの年齢の話になって(相手は31歳だと言っていました)、私の姿は年齢より若く見えるといいました。


 しってた(^ω^)


 で、私も「年齢より若く見えますよ」と返します。いや、どうみても肌修正バリバリの(もしかしたら顔も修正しているかも)写真だったんですが、体つきはかなり若く見えましたので、あながち間違いではないでしょう。


 ええ、体つきは。


 どこみてんねんって?


女:「私は独身で二年以上になります。前の恋からずいぶん経っています」

私:「どんな男性が好きなのですか?」


 そこから相手は、自分の理想とする男性論を結構長く書いて送ってきました。


 ここ、今考えても不思議です。逆に、このことが、もう少し様子を見ようと私に思わせた原因になったかもしれません。


 どうなんでしょう、ロマンス詐欺の犯人って、理想の異性論なんか語るものなんでしょうかね。


 その日はそう言う話で終わりました。


 明けて1月24日。

 結婚相手についての話がまだ残っていました。共通の趣味があるのが良い、とかですね。


 まあ、話の流れです。私はこう聞きました。


私:「エミリーさんは、何か趣味はありますか?」


 そりゃ、まあ、普通、聞くでしょう。

 そして返ってきたのが、こういうメッセでした。


女:「私の仕事のため、普段は暗号通貨の研究が好きです。生活の中では、旅行、フィットネス、読書、映画鑑賞、料理、ゴルフ、そしてスカイダイビングが好きです。」 

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