1月20日 初手、ボイス
LINEを登録したので、まあ礼儀としてご挨拶。
私:「こんにちは、エミリーさん。たいらごうです」
うん、ふつー。
すると十分後、返事が。でもテキストじゃない。
音声……マジデ!?
女:「コンバンハ、コレカラヨロシクオネガイシマス」
若い女性の、たどたどしい日本語。
……いや、これ実は、私が警戒心を下げてしまった最大の要因です。
女に騙されてやんの、ばーかwww
と言ったらそれでお終いなのですが(笑)
いや、普通、犯罪者は自分の情報をできるだけ隠そうとします。
音声は「声紋」を取られる情報ですから、そんなものを残すなんて論外でしょう。
それをいきなり送り付けてきたということで、「怪しきは罰せず」としてしまったのです。
(後から考えてみれば、あらかじめ入手していた(誰のモノかはわかりませんが)音声を、マイクに向けて流せばいいわけで、本人のモノとは限らなかったなぁと、思った次第です)
その日は、お互いの仕事のことなどを話し、そのまま終わりました。
明けて一月二十一日。
女:「おはようございます。いい一日でした」
LINEにメッセージが入っています。
もう一日が終わってるよ(;・∀・)
朝の挨拶とともに、その言葉が間違いであることを伝えました。
すると、LINEに返事が。開けてみると……
写真ドーン!!
何やら、ジムのような場所のフローリングの床にマットが敷いてあり、スマホ片手に座った状態の女性の姿が写っています。いかにも中国人(もしくは台湾人)風の目のクリッとした人。
女:「ヨガの練習を終えたところです」
下はスパッツでしょうか。上はTシャツ。
そして……もうね、明らかに怪しいほどにボインボイーン!
いや、あのですね。私はちっぱいと雄っぱいとまな板をこよなく愛する人間らしきものなのですよ。
そんな、ぼいんぼいーんに騙されるほど安っぽい男では
私:「ヨガ! 健康的ですね。とても美しいです」
……ほら、一応ね、社交辞令ってものがあるでしょ。そうそう、社交辞令ですよ。
決してぼいんぼいーんに騙されてるわけではありません。
女:「あなたのかっこいい写真を送ってくれませんか?」
……ナニソレ。
正直、相手の意図が分かりませんでした……いや、わかれよってね。
こちらがどんな人間かを知ろうとしたのでしょう。いきなりでは警戒されるでしょうから、まず麗しき女性の写真を送って、その返事として写真を要求する。そんなところでしょうか。
私:「私は若くもないし、かっこよくないですが、写真見たいですか?」
一応探りを入れてみます。
まあ相手からすれば、そりゃ、獲物の写真です。見たいに決まってる!
これに対し、どんな返事が返ってくるのかと思っていたら、再び写真が。
なになにと思ってみてみると……
赤い箱の中にキラリと光る指輪。しかもペア!
ロゴ見たら、カルチェって書いてある!!
あ、もちろん、アルファベットです。いっそのこと平仮名で『かるちぇ』って書いてくれてたらよかったんですが。
にしても、カルチェの指輪なんて、レベッカの歌でしか聞いたことなかったあるよ、ワタシ。
にしても……見知らぬ相手にいきなり高級ブランドの指輪の写真。
もう、怪しさメーターが振り切っています。
女:「未来の旦那のために預かっています」
ほらほら、来たよ来たよ!
そう思いました。
ここで私は「ロマンス詐欺」もしくは「結婚詐欺」を疑ったのですが……これが逆にまずかったようです。
当然このあと、「付き合う/結婚の約束」からの、「お金貸して」が来ると思ってしまった。
私:「あなたなら、いい旦那さんが見つかると思います。私はもう結婚していて、妻がいます」
これで終了。そう思ったのですが、
女:「勘違いしてますよね? 私の将来の夫のために残すといっているのです」
そう返事が返ってきました。
……いや、あのー、見ず知らずの人にそんなものの写真送ってくるわけないでしょ?
そうは思うのですが、もしかしたら外国ではそれが挨拶である可能性が、ワンチャン。
ねーよ(;^ω^)
その後、父親が春節の用意をしている写真が何枚か。そして春節の料理につかうという、伊勢海老とワタリガニの写真が送られてきました。
『私はお金持ちなの』アピールでしょうねぇ……
正直、この後の展開が見えなくなりました。お金に困っているアピールであればわかりやすかったのですが。
さてその夜、私は自分の写真を一枚撮り、相手に送りました。
イケメンすぎる写真なので、相手がどういう反応を示すか、様子を見ることにしたのです。
イケメンすぎる写真。
重要なことなので二度言いました。
さて、そのLINEの返事は、次の日に来たのですが……
(つづく)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます