業火の眼差し
※以下、「日本不審者情報センター」より引用
(兵庫)神戸市須磨区一ノ谷町5丁目で声かけ 2月20日夕方
https://nordot.app/1000360160879443968?c=134733695793120758
兵庫県警によると、20日午後4時ごろ、神戸市須磨区一ノ谷町5丁目の公園で女子中学生への声かけが発生しました。(実行者の特徴:年配男性、黒色系の服、帽子)
■実行者の言動や状況
・ベンチに座り、通行中の女子生徒に声をかけた。
・「おかえり、いつもより3分早いね」
■現場付近の施設
・須磨浦公園駅[山陽電鉄]、山陽須磨駅[山陽電鉄]、★須磨駅[JR]、須磨浦公園、鉢伏山
〜〜〜
男は悪戯が好きだった。
少年時代にはピンポンダッシュ、大きくなってからは冷やかしのナンパにうつつを抜かした。
人が困惑するのを見るのが好きだった。
それがそのまま大人になり、いい歳をした今も通りかかる子ども相手に悪戯を仕掛ける。
なぜ子どもなのか?
大人は反応が芳しくない。特にここ20年ほどで人々はめっきり冷たくなった。
それに比べて、子どもはピュアだ。
男は狙いをつける。
向こうから女子中学生がやって来る。
男は冷たくあしらわれるのかいい反応を示すのかというギリギリのラインを攻めるのが好きだった。一種のスリルを味わいたかったのかもしれない。
中学生はどちらとも言えない。それが男の好奇心を疼かせた。
ベンチに座ったまま、女子中学生が通るのを待つ。彼女が目の前を通り過ぎるタイミングで声をかける。
「おかえり、いつもより3分早いね」
どうだ、と言わんばかりの男の表情。こんなことを言われれば、「いつも監視されていたのか?」と不安にさせられること請け合いだ。
少女は冷たい眼差しを向ける。
「ウソの五三八と言って、適当な数字を挙げる時には5と3と8が選ばれやすい。あなたは適当なウソをつこうとして3分という数字を選んだ。こんなところで油を売っているくらいだもの、所詮、浅慮な悪知恵しか絞り出せないわよね」
颯爽と去っていく彼女の背中を、男は涙目になって見送った。
──冷たいなんてもんじゃない。地獄の業火じゃないか。
男は家に帰る決心をつけた。
ストレンジャー・クロニクル 〜不審者たちの真実〜 山野エル @shunt13
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