凍える冬よりも冷たいもの
※以下、「日本不審者情報センター」より引用
(北海道)札幌市北区北24条西5丁目付近でカバン掴み 2月3日夜
https://nordot.app/994380894990876672?c=134733695793120758
北海道警によると、3日午後7時20分ごろ、札幌市北区北24条西5丁目付近で女子学生へのカバン掴みが発生しました。(実行者の特徴:高齢男性、白髪、オレンジ色ダウン、黒色ズボン)
■実行者の言動や状況
・帰宅途中の女子学生のリュックサックを引っ張り、声をかけた。
・「おじさんのつまらないダジャレ聞いて」
■現場付近の施設
・北24条駅[札幌市交通局]、札幌市北区役所、白楊小学校、札幌創成高校
〜〜〜
男はとにかく孤独であった。
北の大地の苛烈な冷たさが、その孤独をさらに際立たせる。
だから、家の中でぬくぬくと過ごすより、厳しい寒さの中に身を投じて人の気配を感じていたいと思ったのかもしれない。
夜の帳もおりた街には、忙しなく行き交う人々。
その雑踏の中に立つだけで、男は自分もこの街の一部になれた気がしていた。
だからなのだろう。
彼の心はどこか大きくなっていた。
そばを通りがかった女子学生のリュックを引っ張って呼び止めた。
「おじさんのつまらないダジャレ聞いて」
彼にとっては、本当にちょっとした出来心だった。誰かと会話を交わしたというスタンプのようなものを欲していたのだろう。
それが裏目に出た。女子学生が口を開く。
「つまらないダジャレって先に予防線張れば自分自身のつまらなさが紛れるとでも思ってんのかよ? めでてー頭してんな、ジジイ。警察に通報しとくからな」
あまりにも悪辣!
どこまでも冷徹!
立ち去っていく女子学生の背中を呆然と見送りながら流れた男の涙は、すぐに厳寒の空気を吸い込んで消えた。
街を追われ自宅に向かう彼の足に迷いなどないかのように思われた。
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