第33話  ゼネクト神と対決

「ゴンガガ山の山頂の洞窟に魔王の巣があるんだ。」

「よし、行こう。」

「本当に、2人で大丈夫なの!?」


僕は、心配になってアンナに聞いた。

アンナは、不敵に笑うだけだ。

アンナのこの自信は、何処から来るのだろう。


再びボクたちは、風の親分に飛ばせてもらって、ゴンガガ山を目指した僕たち。


有翼種の魔族たちが沢山洞窟から出て来た。

鋭い爪を持っている。


「ああ・・・あいつらは、水に弱いんだ。」


そう言うとアンナは、僕には分からない言葉を唱えると雨雲を呼んだ。

次第に空が暗くなり、雨が降ってきた。


雨が強くなってくると有翼種の魔族は、地上に這いずるようになっていった。


「応援が来る前に、少し片づけておくか。」


と言って、また何やら唱えると、雷が魔族の上にピンポイントに落ちて行った。


「あの・・・」

「何だ!?タクト。」

「慣れてない!?魔族退治!!」

「まあな、言ったろ。然る筋と約束してるんだよ。こういう事態になったら、片っ端から、退治しますってな。」

「アンナって、この世界のどの国のお姫様より偉いんでしょう!?そんな人に頼み事してくるなんて・・・何処の王様なの!?」

「詳しくは言えないが、王ではないな。」


僕は、キョトンとしてしまった。


「洞窟に着いたら、中を火攻めにする。私に考えがあるんだ。」


僕は、アンナから攻撃の仕方を説明された。


「僕、火傷と丸焦げは嫌だよ!!」

「その鎖帷子と風の親分が、お前を守ってくれるはずだ。」

「アンナは!?」

「火の王の力を総力あげて洞窟中を火の海にするんだ。

いいか、ゼネクト神は私が何とか仕留めるから、お前はマークウェルに止めをさせ。」

「でも・・・ゼネクト神の方が強いんじゃあないの!?」

「確かに、簡単ではないかもしれない。マークウェルの力を乗っ取ったつもりで、強気なのかもしれないが、所詮人の悪意の象徴体だ。万能ではない。それよりも不死のマークウェルの方が手強いぞ!!」

「マークは、ゼネクトに食べられたんじゃないの!?」


僕の言葉にアンナは、


「だったら、こんなに武者震いなんかするか!?」


よく見ると、アンナの小さな腕が小刻みに震えていた。

18歳って言ってたけど、僕より年上には見えないモン。

言葉使いとか偉そうな態度で、忘れてたけど、アンナって女の子だったなって初めて思ったよ。


やがて、アンナの


「行こう。」


声で、僕たちは、地上に降りて洞窟の中へ入って行った。


「火の王、レスタコンダ。この洞窟を火の海にしてくれ。何物も溶かすお前の火力で。!!」

<承知。>


アンナの火の精霊は、もともとこの地方の火山の王であるらしい。

火を見ている感覚は無く、青白い向こう側がぼやけて見えた。


魔族が次々と灰になっていく中で、悠々と椅子に座ってる鳥が頭の?な物が現れた。


僕は、風の親分の作ってくれたマントの中で成り行きを見守っていた。

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