第30話  邪神と契約したマーク

「マーク!!何をやってるんだよ!!」


僕は、マークと対峙して言った。

マークは、薄ら笑いを浮かべた。


「タクト、あの時よりも大きくなってるじゃないか。エア・ボールの威力も上がってるな。」

「マーク!!マークが魔王なんて嘘でしょう!?」


僕は叫んでいた。

マークは、ほとんど表情を変えないまま言った。


「邪神、ゼネクトと契約したのだ。」

「邪神ゼネクト!?」


僕の声を聞いた、アンナが僕の所にやって来た。


「南方の民が作ったという神だな。生贄を捧げて願いを叶えてもらうそうだ。」

「生贄!?」


アンナが僕の隣に来て、ぼそりと言った。


「なんで、優しいマークがそんな者と契約するんだよ。マークは勇者なんだよ!!」

「勇者・・・か・・・そんな者は、この世に必要あるまい!!

神殿や世に讃えられたのも、一時だ。どの国にも受け入れては、くれなかったし定住も出来なかった。流石にランス村にも年の取らない俺のことを、可笑しいと見る者が多くなって居辛くなってしまった。」


僕は、アンナが背負っている神剣が、ピカピカ銀色に点滅していることに気が付いた。

マークは、続けて言った。


「そんな俺に声をかけて来たのがゼネクトだ。俺自身を食らって、俺に不死プラス最強の力を授けてくれたのさ。」

「「「なんで、そんな力にが欲しいんだよ!!」」」


僕は、大声で怒鳴って言った。


「この世を、ゼネクト神に捧げるために。」


マークは感情なく言った。


「世間は、光の神とやらの信徒で溢れている・・・それを壊して、世界をゼネクト様に捧げるのだ。」


僕とアンナは、呆然としてマークの話を聞いていた。


「つまりお前は、既に魔王と言うよりゼネクト神か!?」


アンナの言葉に、マークは高らかに笑った。


「ははは!!我が世を作るだけだ!!」


この言葉は、エコーのように僕たちに響いて気が付いたら、マークは僕たちの目の前から消えていた。


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