第26話  剣士、コンラッド・マクリル

ヒューイッドは、声も無く倒れた。


「ヒュー!!」

「タクト、こちらに来い!!お前のエアキックであいつの頭を狙え!!考えがある!!」


僕は、アンナの方に移動すると、エアキックの準備をした。

アンナは、考えがあると言って自らの精霊、火の精霊を呼んだ。


「火の王、タクトの風に力を貸してくれ!!」

<承知。>


アンナの連れている火の精霊は、ゴリマッチョで、上半身裸の透き通っていて、顎髭をたくわえていた。

火の王とは、上位の精霊なんだな。


アンナは、僕のエアキックに火を付けたんだ。

つまり火球にしたんだな。

物凄い威力の!!


ディン族は火に弱いらしい。

火球をもろに食らった魔族は、頭が吹っ飛んで、身体は燃えていた。


「「「スゲェ!!」」」


アンナの方を見ると、彼女は満足そうに笑っていた。


「アンナ、こんなに魔法の力があるのに精霊は1匹だけなの!?

アンナなら、もっと連れていたっておかしくないヨ?」

「そうか?前は風の精霊と契約していたのだが、旅の途中ではぐれてな。こうして旅をしているのも、そいつを捜しているのかもしれないな。」


アンナは、寂しそうに言った。

僕の知らない旅がアンナには、あったのだろう。


僕は、ヒューイッドのことを思い出して、彼の傍に駆け寄って行った。


「まだ、近付くな!!」


アンナに止められたが、僕はヒューイッドに近付いた。

倒れていたのは、知ってるヒューイッドじゃなかった。


白髪頭に、しわがある老人が倒れていた。


その時、魔族の燃えている腕が僕の肩に触れたんだ。

でも、銀色の光が閃光して魔族は、そのまま倒れ込んだんだ。

そして、止めとばかりに剣が振ってきた。


「古の呪力のある鎖帷子を着ていたから助かりましたね。」


僕は顔を上げた。

アンナも警戒を解いて、僕の方に来てくれた。


「相棒は、魔族の餌になって、5~60年寿命を持ってかれたな。」

「ああ・・・それより、お前!?」


岩の上から、華麗にジャンプして僕らの前に現れた。


「これは、ロイルの姫に失礼しました。私は、剣士のコンラッド・マクリルです。冒険者ギルドで見かけて以来、後を付けさせて頂きました。」

「私は、ギルドで同行者を募っていたぞ。何故、今、姿を現した!?」


アンナは、不機嫌だ。


「そりゃ、ギルドの判定が最近、甘いですからね。冒険者登録が初めての者に、神殿公認の魔法使いの資格を与えて、Bランクにする

など。様子を見ようと思いました。」


コンラッドという人は、淡々と話す。

アンナが言った。


「はっきり言え。ロッソの送り込んだ者だろう?」


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