第21話 アンナレッタ・エル・ロイル
「上位の風の精霊を持ってるな。あの、風球もかなりの威力のモノ
だった。学び舎に行ってない、はぐれ魔法使いか!?」
「ねぇ、マークが魔王なんて、嘘でしょ!?」
僕とアンナの会話は、見事なまでに噛み合っていなかった。
折れたのは、年上のアンナだった。
「言っただろ!?まだ調査中だと。でも、各地で魔物を指揮しているマークウェルが目撃されてるんだ。元は、勇者だったとしても常人を超える寿命を手に入れてしまった者には、そいつにしか分からない苦しみがあるんじゃないのか!?」
「マークは何処にいるの!?僕がマークと話してみるよ!!
僕は、マークとアグネクトを倒したんだ!!僕の言う事なら、マークは聞いてくれるかもしれないモン!!」
アンナは、大きな目をさらに見開いた。
「タクト・・・タクトール・ミネか!?お前がマークウェルと共にアグネクトを倒した異世界の魔法使い・・・なのか・・・!?」
「そうみたいだよ、前の僕は13歳で死んでるんだ。でもその時見てた夢の世界がこの世界だったんだ。今は16歳だけど、14歳までの記憶は無いんだ。
だから、文字も読めなくてパパが東方の学校に入れるのを諦めたんだよ。」
「パパ!?父上のことか?」
「そんな呼び方する人、知らないよ!!」
アンナは、吹き出して笑った。
「何だよ~~そんなに可笑しいの!?」
「いや、マークウェルが遺した神殿への報告文と、お前があまりにも一致するから・・・すぐムキになる、時々訳の分からない言葉を使う、常識が通用しない!!」
僕は、嘘は言ってないのに~~
「ラミネス姓は、マークにウェル個人に与えた姓で、家族には名乗ることは許してないはずだが。まあ、良いか。これは知ってるか!?ラミネス姓を与えた時にマークウェルは、タクトールの姓をくれと言ったんだ。だが、マークウェルは、ミネしか聞き取れなかったんそうなのだ。それで、神殿側の用意したラミネス姓で落ち着いたんだよ。」
「アラミネだよ。なんか聞いた名前だと思ったら、マークは僕を勇者にでもしようと思ったのかな~~」
それを聞いたアンナは、また笑った。
「面白い奴~~気に入った!!異世界からの転生者っていうのも面白い。
ついでに魔法使いだしな。」
「アンナ!?」
「お前たち、今夜の宿も無いんだろう!?これからは、私が仲間になる。
私は、アンナレッタ・エル・ロイル、この世界の神の子孫だ。敬えよ。」
とアンナは、手を差し出してきた。
なんとなく手を差し出してしまった僕。
こうして、勇者の子孫の僕と、神の子孫のアンナの旅が始まるのである。
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