第20話  魔王、マークウェル

「私の名前は、アンナだ。東方から来た。お前たちの名前はなんというのだ?」


アンナは、僕たちの近くにやってきて言った。


「僕は、タクト・ラミネス。あっちは、ヒュー・ランスだよ。」


僕が言うと、アンナとロッソじいさんは、顔を見合わせてしかめ面になってしまった。


「ラミネス姓は、返上になったのを知らないのか?」


アンナが言った。


「どういうこと?」


確かラミネス姓は、マークが魔王を倒して東方の神殿から貰った姓のはず?


「マークウェルが、今の魔物を操っている第2の魔王だと風たちの情報だ。

まだ、確認段階だが、2つの村の魔物の襲撃に、マークウェルが関わっていることが分かっている。その段階で、ラミネス姓は取り上げた。

マークウェルは、もう勇者ではないんだ。」


僕は、ビックリして口が聞けなかった。

嘘だ・・・

あの、マークだよ。

強くて、強くて、とっても優しいマークだよ!?


「だって、マークは皆のために魔王アグネクトを戦ったのに!?」

「長く生き過ぎたんだな。きっと・・・」


アンナはそう言うと、大きく息をついた。


「そんなことより、姫早く銀の森にお戻り下さい。姫が婿君を決めてくれないとじいは、帰るに帰れません。

それから、神剣の事もありますし。」

「だからアフレオスは、当人も納得の上で連れてきてるんだ。それから、婿か・・・

タクト、お前年は幾つだ?」


アンナが急に僕に話題をふってきた。

僕は、マークの事にショックを受けていたので、アンナの声が聞こえなかったんだ。

後でヒューイッドに聞いたら、何度かアンナは僕の年を聞いてたらしい。

僕が呆けていたので、ヒューイッドが代わりに16歳ですと答えてくれたんだって。


「そうか!!私と2つしか違わないな。よし!!タクト、お前で良い!!お前に決めた。ロッソ、コレを婿にする事に決めたぞ。」


アンナが何か言ってるど、婿って何の事!?

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