第18話  懐かしの鎖帷子

「「「ママ!!ママ!!」」」


僕は、気が付いたら空中に飛び上がっていた。


<タクトゥール、早くこの辺りから離れた方が良い。急ぐぞ!!>

「待って!!パパとママをたすけきゃ駄目だよ!!戻ってよ!!セネガルド。」

<駄目だ。今は、過去の契約者のアムリットの言葉が優先されている。」

「何言ってるのか、分からないよ!!セネガは僕の精霊でしょ!?」

「アムリットとは、マークウェルとの契約を切った後に、マークがアムリットに魔法を教えるために少しの間契約をしていたことがあるのだ。

タクトゥール、お前を身籠った時に契約は切ったが、その時に、子供の命が危機に陥った時に子供の命を最優先にするという約束をした。それが、今だ。」


僕は、涙でグチャグチャになった顔で、パパとママを呼んでいた。

ヒューイッドは、急に宙を飛んだことで気を失っていた。


人の多い所の方が安全だろうと、セネガルドは王都の街の郊外に、僕とヒューイッドを降ろしてくれた。


足が地上に着くとヒューイッドは、目が覚めた。


「ここ何処だよ!?」

「精霊が言うには、リリエンハイムの王都の郊外らしいよ。」

「ランス村は終わりだな・・・タクトは何か持ち出せたのか!?」

「ママがこの風呂敷一式を持たせてくれたんだよ。」

「俺は、おやつのクッキーのかけらだぜ。」


苦笑するヒューイッド。


「そうだね・・・僕たち、これからどうしよう・・・」


僕も溜息をついた。

この頃には、涙も止まっていた。


「なぁ?タクト、それなんだ!?」

「え!?」


ヒューイッドが、僕の荷物に興味を持ったようだ。


「何だろね!?大将、知ってる?」

<ラミネス家の家宝だ。開けてみればいい。>


セネガルドは、優しく言ってきた。


僕は、風呂敷を地面に置いて開いてみた。

中から出て来たのは、三重に布に包まれた鎖帷子だった。


「今時、鎖帷子!?」


ヒューイッドは吹き出していた。

でも僕は、目を見開いて口もきけないでいた。


「これ・・・」

<覚えているか!?タクトゥール。魔王アグネクトを倒した、アラミネ・タクトの遺物だ。同一人物だと言うなら、これを受け取るのは、お前だけだな。>


そう、この鎖帷子は、マークが僕のために用意してくれた装備だ。


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