第14話  ランス村

此処の村は、ランス村と言うそうだ。

パパが教えてくれた。


次の日に、パパがボケらったじゃなくなった僕を村に連れて行くと言って、またママと喧嘩になったんだ。


どうも僕のことは、魂抜けのアフォ息子として有名で、ママは僕を隠すように山の家で育てて、パパもあまり近寄らなかったみたいだ。

そんな僕が、正気を取り戻したものだから、パパは勇者の子孫だぞと村の人に自慢したくなったようだった。

この世界の姓は、王族とか、貴族とか、の特権階級以外の人は、住んでる地名が姓になってるらしい。


ここは、マークが開拓してリリエンハイムの王様に認められた村で、ランス村といった。


マークが、神殿から貰ったラミネルという姓は、誰も名乗れないんだ。


だったら、パパが村長かと思ったら、そうでもない。

村長は、別にいた。


パパとママの喧嘩は、パパに軍配が上がったらしい。

僕は、余所行きの服を着せられて、村に行くことになった。

パパは、ルンルン気分らしい。

鼻歌を歌ってる。

知らない歌だけど・・・


♦️


ランス村では、僕は珍獣扱いだ。

村人は、遠巻きに僕を見ていた。


あの、美女だったリムジットの孫。

飲んだくれのホクトの息子、なんて不名誉な言葉も聞こえてきたよ。

ちゃんと働いてよ。パパ。


パパは、村長の家に行って、僕を自慢するんだ。

この子は、精霊が見える。

風の精霊と契約した。

いまに偉大な魔法使いか、剣士になって、マークウェルに負けない勇者になるだろうってね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る