第12話  風の大将、セネガルド

僕、おかしいんだ。

するすると、木登りが出来てしまう。

木登りなんてやったことが無いはずなのに!?


心臓が悪くて、ほぼ寝た切りだった僕にこんなことが出来るなんて。

この世界の僕は、頑丈なんだな。


上を見ると、もっと上の右の方の太い枝に、透き通った恰幅の言いおじさんが見えたんだ。

!?

幽霊かな!?

前には、こんなもの見えなかったのに・・・


<我が視えるか!?リムジットの孫よ。>


僕はビックリして、木から手から放しそうになったよ。

ゆーれーが喋ったよ。


<驚いておるな。お前とは、マークとの旅との時に会っているのだが・・・>

「会ってる!?」

<我は、マークを守護してきた精霊だ。今はフリーだがな。>

「フリーって確かにマークは、風の魔法使いだったけど。もうマークは死んじゃったの!?」

<いや、16年前までアムリットと一緒に暮らしていた。そう言ってなかったか!?>


そういえばママは、そう言ってたな・・・

でも、マークは幾つなんだよ!?

あの当時、25~6歳だったとして、リムジットが7歳で、10年後くらいにママを生んでたとしても35歳位か・・・ママは35歳(前の世界では)で僕を生んでる。

僕は昨日で、14歳。

マーク、80歳を過ぎてるじゃん!!

そんなに年を取って、旅をするってどうなの!?

しかも、僕が生まれるって分かってたのに・・・?


僕の独り言が聞こえたのか、風の精霊は笑ってきた。


<ハハハ、悩んでるな!?マークにも事情があってな。我は、お前が此処まで上がって来れる日を待っていたのさ。>

「待っていた!?」

<先の戦いでは、お前はこの世界の者ではなかった。故に、精霊なしで戦えたのだ。

この世界では、あのような力を使いたいなら、精霊の力が必要になる訳だ。>

「ぼくに、力を貸してくれるの?えっと・・・」

<我の名は、セネガルドだ。お前の名は、タクトゥール・ラミネスだな。契約はここに成立した。我のことは、風の大将と呼ぶのだぞ。精霊の地位は、そこそこ高いのだからな。アホな使い方をせんでくれよ。>

「なんで、そんなことを言うんだよ!!」


僕が真っ赤になって、叫ぶとセネガルドは言った。


<魔法使いは、皆神殿のある学び舎に行って教育される。正しい使い方を学ぶためにだがお前のように、知識も無いものが精霊の力を使うと、時として悲劇を生んでしまうのだ。>


セネガルドは、淡々と僕に話した。

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