第10話  パパ、ホクト

「ねえ、ママ。パパは?」


この世界でもママがいるならパパもいるはずだと思ったよ。


するとママは、変な顔をした。


「どうかした!?」

「あんなのは、いないのと同じだね。」

「パパの名前は、アラミネホクト!?会社を経営していたんだよ。

この世界でも、何か商売をしてるのるかな~?」


ママは大きく溜息をついて、


「お前の言ってることは、意味不明だよ。だが、全くデタラメでもない。

そうだよ、お前の父さんの名は、ホクトだ。

だけど、家には寄り付かないね。」

「だから、ママがダイエットしないからだよ。」


そう言うと、僕はママに2回めのゲンコツを貰った。

瘦せたママには、こんなこと1度も無いのに・・・


「お金が入った時にしか、来ないんだよ。」

「パパは、仕事してるんでしょう!?」

「どうだか、前は、行商人をしていたけどね。今は神殿からお金が入ると、取りに来るだけだよ。」

「神殿!?」

「この世界の神様を祀ってる神殿だよ。我が家はね、勇者マークウェルが魔王アグネクトを討討伐したおかげで、神殿からラミネス姓を貰えたのと、マークウェルに生涯、報奨金が貰えるようになったのだよ。」

「待って!!マークは僕のひいお祖父さんなんだよね。まだ、生きてるの!?」

「死んだとは、連絡はないね。」


ママは僕から視線を逸らした。

僕は良く分からなくなった。


「昨日までのタクトゥールと違い過ぎるね。何があったんだい!?」

「何もないよ、昨日までのことは覚えてないモン。それより、外に出て良い?」

「身体がなんともないなら、子供は外で遊んできな。」


僕は、ママからベッドから追い出された。


「今日は、神殿からお金が入る日だから、あの人は帰って来るよ。」

「それって、パパのこと!?」

「ああ、それ以外は、村の方で飲んだくれてるよ。」


僕は、ベッドから出て、服に着替えた。

質素な服だな・・・

僕は、この時代のこういうとこが嫌いだ。

だって、とっても貧乏くさいんだもん。


僕は家の外に出て、ガックリ。

平屋の古い作りだ。


僕は、家の前でエア・ボールの練習をしてみた。

この世界に来て、初めての・・・


でも、全然威力が無いんだ。

あれ!?

あんなに威力があったのに!!

魔王アグネクトの止めを刺したんだぞ!!


「何やってるんだ~!?」


パパの声だ!!


「パパ!?」


金髪のパパがいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る